【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ユーグレナは25日いすゞと共同プロジェクト発表会予定で動意の可能性

2014年6月17日 09:38

  ユーグレナ <2931> (東マ)の株価は、900円台での下値固めが完了して出直りの動きを強めている。6月16日には終値で1100円台を回復した。安値圏モミ合いから上放れて強基調に転換する動きだ。いすゞ自動車 <7202> との新規共同プロジェクトに関する発表会を6月25日に開催予定であり、バイオディーゼル燃料関連を材料視して動意の可能性があるだろう。

  59種類の豊富な栄養素を有する微細藻類ユーグレナ(和名ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養をコア技術として、ユーグレナを活用した食品、バイオジェット燃料、バイオフィルムなど関連分野への研究開発を進めている。13年3月ユーグレナ粉末受託生産と微細藻類クロレラ生産の八重山殖産を子会社化した。また13年11月にバイオベンチャーの植物ハイテック研究所を子会社化して、形質転換技術による「スーパーユーグレナ」開発への取り組みも強化している。

  ユーグレナを活用して「Food=食料」「Fiber=繊維」「Feed=飼料」「Fertilizer=肥料」「Fuel=燃料」の順に、重量単価の高い分野から参入する「バイオマスの5F」を基本戦略としている。現在の主力事業である機能性食品や化粧品のヘルスケア事業(OEM供給、自社ECサイト「ユーグレナ・ファーム」直販など)で安定的キャッシュフローを創出しながら、バイオジェット燃料などエネルギー・環境事業への研究開発投資を進める戦略だ。

  14年4月には、微細藻類ユーグレナの特有成分・パラミロンの継続摂取による免疫バランス調整機能に関して特許出願し、医療分野等への活用や食材としてのユーグレナの付加価値向上を目指している。注目度の高いバイオジェット燃料については18年の低コスト生産技術確立と20年の実用化を目指している。なお6月25日には、いすゞ自動車との新規共同プロジェクトに関する発表会の開催を予定している。

  13年11月に発表した中期経営計画では、18年までにユーグレナの食品国内市場300億円規模、国内ヘルスケア事業の売上高150億円、営業利益30億円以上、ユーグレナの食品海外市場300億円規模を目指している。

  国内ヘルスケア事業ではユーグレナを活用して、13年12月にペット用食品事業、14年3月に自社ブランド化粧品「B.C.A.D.」事業を開始した。14年4月にはイトーヨーカ堂と「ミドリムシカラダに委員会」プロジェクトを発足し、食品メーカー8社と共同開発したユーグレナ配合食品を全国のイトーヨーカ堂店舗で販売開始した。14年6月には小田急百貨店と共同でユーグレナ配合お中元ギフト12商品も発売している。

  海外は、中国で「新食品原料」登録を取得して伊藤忠商事 <8001> との連携で拡販に取り組み、イスラム教のハラール認証を取得して60兆円と推測されるハラール食品市場への輸出も可能になっている。

  今期(14年9月期)の連結業績見通しは前回予想(11月12日公表)を据え置いて、売上高が前期比48.8%増の31億13百万円、営業利益が同横ばいの1億76百万円、経常利益は営業外での新株式発行関連費用計上が影響して同9.0%減の2億40百万円、純利益は負ののれん発生益が一巡して同70.1%減の1億44百万円としている。

  今期に関しては、売上総利益の増加分の大半を中期成長に向けた先行投資として広告宣伝費や研究開発費に充当する方針のため、営業利益は横ばいの見込みとしている。ただし収益性の高い自社ECサイト直販での購入者数が増加基調であり大幅増収の見込みだ。

  第2四半期累計(10月~3月)は、自社ECサイト直販での定期購入者数増加や、売上総利益率上昇などで前年同期比75.8%増収、同38.0%営業増益と順調だった。食品分野の事業展開が加速して来期(15年9月期)は大幅営業増益が期待されるだろう。

  株価の動きを見ると、新興市場全体の軟調ムードも影響して上値の重い展開が続いたが、4月11日の安値918円まで下押す動きは見られず、900円台での下値固めが完了したようだ。足元では5月20日の直近安値923円から急反発の展開となり、6月16日には1165円まで上伸して出直りの動きを強めている。

  6月16日の終値は1127円だった。日足チャートで見ると25日移動平均線を突破して上伸し、週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。強基調に転換の形であり、中期成長力を評価して出直り展開だろう。なお6月25日には、いすゞ自動車との新規共同プロジェクトに関する発表会の開催を予定している。バイオディーゼル燃料関連を材料視して急動意の可能性もあるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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