シャープ、3回目のマイルストーン賞受賞

2014年6月14日 21:16

 「マイルストーン賞」というものをご存知だろうか? これはアメリカ電気電子学会(IEEE)が認定する賞で、電気・電子技術の分野において歴史的な偉業を成し遂げたとみなされる研究結果に対して贈られる。また認定されるためには、25年以上の期間、世の中で高い評価を受け続けていなければいけない。

 そして10日、このマイルストーン賞が発表された。今回受賞したのは日本の大手電機メーカーのシャープ<6753>であった。シャープが1988年に開発した、テレビ用液晶ディスプレーが液晶産業の発展に貢献したと評価された結果、今回の受賞に至った。シャープがこうしてマイルストーン賞を受賞するのは今回で3回目となり、これまでに「電卓の開発」や「太陽電池の商業化」といった研究結果が評価され受賞している。3回の受賞は国内で最多となる。

 まだまだブラウン管テレビが全盛であった88年に、シャープは高画質の14インチ液晶ディスプレーの開発に成功。その後、液晶ディスプレーの大型化がどんどん進み、家庭用テレビはブラウン管から薄型液晶ディスプレーへと変化していった。

 この88年の液晶ディスプレーの開発が、シャープに今回のマイルストーン賞をもたらした。同日、大阪市内のホテルで授賞式が行われ、アメリカ電気電子学会の幹部が、シャープの高橋興三社長に記念プレートを授与した。

 液晶事業といえばシャープの主力事業ではあるが、韓国企業の台頭、また巨額投資を背景に一時期は経営危機にも陥った。その後シャープの経営危機は、13年度の業績が3期ぶりに最終黒字化したことにより底を打ったかに思われたが、まだまだ予断は許さぬ状態だ。

 今回のテレビ用液晶ディスプレーの開発に対するマイルストーン賞の受賞は、もちろんシャープにとっていいニュースではあるのだが、その一方で、いつまでも液晶事業頼りの経営ではなく、そのほかの事業の強化、また事業の多角化が必要ではないかとの意見もある。

 はたして今回の受賞により波に乗れるかどうか、シャープの真価が問われるのはこれからだろう。(編集担当:滝川幸平)

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