九大、白金の637倍の性能を持つ燃料電池電極を開発
2014年6月10日 20:58
九州大学の小江誠司教授らによる研究グループは、白金触媒の637倍の活性を示す水素酵素(ヒドロゲナーゼ)S-77による電極の開発に成功した。
水素と酸素を使用する燃料電池は、排出物が水だけであるため、クリーンなエネルギー源としてさらなる活用が期待されている。しかし、電極触媒に使用される白金は希少性が高く費用も高価であるという欠点があった。一方、水素から電子を取り出す効率が白金よりも優れている水素酵素(ヒドロゲナーゼ)は、酸素に対して不安定であるため実用化されてこなかった。
今回の研究成果は、阿蘇山で過酷な環境下にある水素酵素(ヒドロゲナーゼ)S-77を発見し、その性能を調べたところ、酸素に対して安定であること、さらに白金と比べて質量活性が637倍、電流密度が1.8倍、電力密度が1.8倍であることが明らかになった。
自然界には、ヒドロゲナーゼの主成分である鉄やニッケルが豊富に存在しており、今後はさらに多くの高性能電極触媒が開発可能であると期待されている。
なお、この内容は6月4日にドイツの学術雑誌「Angewandte Chemie International Edition」のオンライン版に掲載された。