豊田通商、米社と提携し航空アフターサービス市場に参入
2014年6月10日 20:28
豊田通商は10日、米国の航空機MRO(保守・点検・修理)事業者であるTPSグループと業務提携し、航空アフターサービス事業に参入すると発表した。民間航空機需要は世界的に拡大しており、同社として、航空先進国である米国企業とパートナーシップを組むことにより、低コストで質の高いサービスを提供していきたい考えである。
TPSグループはテキサスニューマティックシステムズ社とタービンフューエルシステムズ社の両社(いずれも本社はテキサス州)で、今回の業務提携は、TPSグループとの間で5月30日に覚書を締結した。
豊田通商は、米国におけるTPSグループの修理工場や倉庫などのMROネットワークを活用し、日本の航空機・部品メーカーなどの航空機関連メーカーや、エアラインを含む航空事業者向けに、米国内のMRO拠点としてサービスを提供する。一方、TPSグループは、豊田通商グループの国際的なネットワーク・物流ノウハウを活用し、米国以外での事業展開を推進する。
豊田通商はこれまで、日本の民間企業としては唯一海外での空港運営を行っており、また、インド・ドレラ新国際空港の建設・運営に当たっては、事業化調査を行うなど、航空関連事業に取り組んでいる。
TPSグループは、米国内で大型航空機向け装備品のMRO事業を展開し、大手航空機メーカーから優良MRO事業者として評価を得るなど、高品質・適正コストによるサービスで定評がある。
世界の民間航空機需要は、新興国における旅客数の増加やLCC(格安航空会社)による路線拡大で、2013年の1万9000機から、20年後には、約2倍の3万7000機に拡大すると見られている。それに伴い、MRO事業のニーズも増大し、市場規模は2014年の約577億ドルから、今後10年間で1.5倍の約868億ドルに達すると見込まれている。
豊田通商は、今回の提携を足がかりとして、MRO事業のグローバルネットワークを構築し、日本企業のMRO拠点を充実させることで、日本の航空産業の事業展開を支援していく方針である。(記事:南条 誠・記事一覧を見る)