紀伊國屋書店が海外戦略を加速 アジア地域でEC事業を展開
2014年6月5日 12:35
紀伊國屋書店は3日、2014年5月12日に株式会社産業革新機構(INCJ)およびアジアンベイシスとの間で出資契約を締結したと発表した。
今回の契約はアジア地域でのEC事業を展開するために、昨年4月に設立したアジアンベイシスへの第一回目の出資を受けるためのもの。INCJからアジアンベイシスへの今回の出資金額は6億円。紀伊國屋書店が実施済の出資と合わせ、アジアンベイシスの資本金・資本準備金の合計は9億1000万円となる。
また、事業の継続的な拡大を実現するため、今後3年を目途にINCJが最大9億円、紀伊國屋書店が2億円の追加出資を行う予定だ。
アジアンベイシスでは新しいECサイトの開発を進めており、本年8月にシンガポールにてサービスを開始した後、事業対象となるマレーシア、タイ、台湾、オーストラリア、UAEのサイトも年内中に順次オープンする予定である。
新ECサイトの特徴は、単純なネット通販ではなく、紀伊國屋書店がアジア・オセアニア・中東地区で展開する海外店舗と密接に連携した販売活動を行う。店頭在庫の活用や店舗イベントとのネット上でのコラボレーションなど、いわゆるO2O施策を重視しており、リアル店舗で培った「Books Kinokuniya」ブランドを活かしたECビジネスを展開する。
また新ECサイトは書籍の販売のみならず、日本の文化・生活関連商品(マンガ・アニメキャラクターグッズ、アーティストグッズ、文具、模型、玩具、インテリア雑貨、工芸品、ファッションなど)を幅広くアジア地域にて普及・販売することを目的としており、日本の出版社、メーカーに協力を仰ぎながらクールジャパン市場の開拓に力を入れて行く方針だ。
紀伊國屋書店は、海外では1969年(昭和44年)のサンフランシスコ店を皮切りに、米国、シンガポール、台湾、インドネシア、マレーシア、タイ、オーストラリアなどに店舗を展開し、2008年には、チェーン最大規模(1800坪)のドバイ店(UAE)を開店するなど、現在8カ国に26店舗、5営業所を展開している。
現地社員の登用を積極的に行うことで、経営の現地化と各国の多様な市場ニーズの把握に努めてきた。アジアンベイシスのEC事業においても同様の手法を採用し、統括本部をシンガポールに置いて現地社員が中心となるオペレーションを行う。
アジアンベイシス日本法人については、国内の出版社、メーカーへの窓口となり、当初の事業対象である6カ国・地域(シンガポール、マレーシア、タイ、オーストラリア、台湾、アラブ首長国連邦(UAE))において販売する商品の開発とプロモーション活動の支援を行う。 (編集担当:慶尾六郎)