生活習慣病のリスクが血液検査だけで判定できる 味の素が独自技術を応用
2014年6月4日 09:52
生活習慣病は本当に恐ろしい。その人の日常生活の習慣が原因で体が蝕まれるので、本人はなかなか気づかない。気づいたときは重症になっているといったことが多い。
また、内臓脂肪蓄積、脂肪肝、食後高インスリン血症といったリスクも、腹囲やBMI値、血糖値などの通常の健康診断項目ではなかなか把握することが難しく、CTスキャンやエコー検査、糖負荷試験といった検査を多くの人が、毎年、健康診断の機会に受けることも難しい状況だという。
味の素<2802>は29日、三井記念病院総合健診センターの山門實特任顧問を中心としたグループとの共同研究で、「アミノインデックス技術」を用いて、生活習慣病に関連するリスク(内臓脂肪蓄積、脂肪肝、食後高インスリン血症)の高い集団を採血検査だけで抽出できることを確認したと発表した。この研究成果は、第68回日本栄養・食糧学会大会(2014年5月30日~6月1日に北海道江別市の酪農学園大学にて開催)で発表される予定。
「アミノインデックス技術」とは、血液中のアミノ酸濃度のバランスの変動を統計学的に解析・指標化し、健康状態や疾病のリスクを明らかにする技術。同研究グループはこれまで、この技術を用いて、生活習慣病に関連する複数のリスクの状態が評価できることを明らかにしてきた。
この技術により今回、20代~80代の人間ドック受診者約4000名を対象に、血液中のアミノ酸濃度のバランスと様々な検査指標の関連を解析した。その結果、「アミノインデックス技術」による指標値の分布と既存の手法によりリスクが高いという結果になる分布が、同様の傾向を示した。この結果から、生活習慣病に関連するリスクの高い集団の抽出に、「アミノインデックス技術」が応用できる可能性が示唆されたとしている。
なお、味の素は、「アミノインデックス技術」を活用し2011年4月より、採血検査(約5ml)だけで6種類のがんのリスクスクリーニングができる検査サービス「アミノインデックス がんリスクスクリーニング(AICS)」を事業化している。こちらも今後の展開に期待したい。(編集担当:慶尾六郎)