芸能人じゃなくても歯は命 増える大人の歯列矯正

2014年6月1日 15:54

 「80歳で自分の歯を20本」。厚生労働省と日本歯科医師会が平成元年に提唱し、活動を始めた「8020運動」が少しずつ実を結び始めている。2011年に行われた歯科疾患実態調査によると、38.3%の人が80歳で自分の歯を20本以上保有している。従来の歯磨きだけでなく、洗口液やデンタルフロスを日常的に使用する人が増えるなどオーラルケアに関する意識が高まる中で、歯列矯正を行う大人も少しずつ増加しているのだ。

 歯列矯正といえばこれまでは子供に行うものという認識が一般的だった。歯並びが悪くとも大人になってからわざわざやる必要はないという人が多数であったのだ。しかし、歯並びや噛み合わせが悪いことによってむし歯や歯周病を引き起こし、更には認知症のリスクも高まることが周知され、30代や40代、それ以上の年齢であっても全身の健康のために歯列矯正は有効と考える人が増えている。

 使用されるワイヤーやブラケットが、あまり目立たない色やデザインへと進歩していることも、大人の歯列矯正に対するハードルを下げている。

 また、最新の歯列矯正には何かと話題の3Dプリンタ技術も利用され始めている。アメリカで開発された「Sure Smile」というシステムは、矯正の精度向上と治療期間の短縮を目的として開発された。患者の口腔内を3Dカメラで完全にスキャンし、そのデータを基に精密に歯並びを再現するため、効率的な治療計画を立てることができる。使用するワイヤーもロボットが高精度で作製するため、矯正期間をなんと4割も短縮できるということだ。日本ではまだ数えるほどしか導入例がないが、今後増加していくことは間違いないだろう。

 芸能人は歯が命と言われるが、一般人にとってもキレイな歯並びで得をする場面は何かと多い。歯並びが良ければ笑顔に自信が持てるであろうし、人とのコミュニケーションも積極的になれるだろう。もちろん小顔効果や顔の輪郭が整うなどの美容効果も高い。

 たしかにまだまだ費用の面や、通院の手間といった課題は多い。しかし3Dプリンタのような革新的技術がこれからも登場することによって、歯列矯正はますます一般的なものになっていくだろう。(編集担当:久保田雄城)

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