住宅大手三社が浦安市と共同で「災害に強い」街づくり
2014年6月1日 14:57
東日本大震災以降、民間レベルでの防災意識が高まっている。とくに甚大な被害を受けた関東以北の人にとって、住宅選びの際の重要なファクターに「災害に強い」というキーワードがある。では、災害に強い住宅とは、具体的にどのような住宅なのだろうか。
「災害に強い家は、災害のあとのくらしも考えています」これは住宅メーカー大手のパナホームのWEBサイトに記されたキャッチコピーだ。確かに、構造躯体の耐震性能や耐久力、壁面の耐火性能などは重要だが、住宅がいくら頑強でも、窓ガラスが飛散したり家具が倒壊したり、収納物や照明が落下してくるようでは避難もままならず、決して安全な家とはいえないだろう。また、大きな災害が発生した場合、電気、ガス、水道などのライフラインが寸断されてしまうかもしれない。さらには、ガス漏れや漏電が起これば、二次災害の恐れもある。それらを考慮していないようでは、決して「災害に強い」とはいえないのではないか。同社では、安全性の高い合わせガラスや、収納物の落下に配慮した耐震ロックなどで災害時の避難経路確保のための提案を行っているほか、太陽光発電システムによる非常用電源の確保や、エコキュートによる生活用水の確保など、万が一、ライフラインが切断された場合でも復旧までの生活について配慮した住宅づくりを行っている。
そしてこれは、個別の住宅単位だけの問題ではなく、団地やマンションなどの集合単位でもいえることではないだろうか。実際、東日本大震災のような大災害時には、大規模な避難場所にすぐに避難できるとは限らない。ライフラインだけでなく、交通機関も分断されてしまうような状況にでもなれば、団地やマンションなどの小さな集落単位での避難生活を余儀なくされる可能性もあるのだ。
このような考えを実際に具現化した街づくりを行っている分譲地がある。パナホーム、トヨタホーム、ミサワホームの3社が千葉県浦安市日の出地区に共同で展開しているスマートハウス分譲地「THEISLES(ジ・アイルズ)」だ。こちらは東日本大震災後はじめて浦安市で実施されている大型分譲になる。浦安市といえば、震災時には液状化現象で話題になったことが記憶に残っているが、当街区は震災でも液状化被害は出ておらず、さらに改めて、道路を含めた液状化対策工事を実施しているという。
そしてこの度「ジ・アイルズ」に、3社と浦安市との官民連携により、災害に備えた「自立型スマート自治会集会所」が完成した。平時は普通の自治会集会所として活用されるが、災害時には地域住民の生活を支援できる施設となる。具体的には、太陽光発電システムなどによってスマートハウスとしての機能を有し、蓄電池、非常用給電システムを装備。また、非常食などを保管する備蓄庫を備えているほか、下水道が止まっても利用できる「ハイブリッドトイレ」を完備している。
本当に豊かで快適な暮らしとは、その日、その時の暮らしだけでなく、万一の災害が発生したときの暮らしにまで配慮した生活環境のことではないだろうか。たとえ将来的にその機能が発揮される機会がなかったとしても、備えることの重要さは、震災の教訓として我々の中に残っているはずだ。住宅購入を検討する際には、間取りや価格、設備や立地だけでなく、災害に強い住宅かどうかを充分に考えたいものだ。(編集担当:藤原伊織)