コンビニコーヒーブームで盛り上がるコーヒー市場

2014年6月1日 15:18

 ドリンク商戦の本番である夏を控え、清涼飲料業界ではすでに熱い戦いが始まっている。今夏の飲料業界で注目すべきは何といっても、昨年から急激な勢いで業界を席巻しているコンビニコーヒーだろう。

 コンビニコーヒーブームの火付け役といえば、セブンイレブンの「セブンカフェ」だ。セブン&アイ・ホールディングスが昨年1月から日本全国のセブンイレブン1万6000店舗で展開しているカウンターコーヒー「セブンカフェ」は、発売からわずか一年で累計5億杯近い販売数を達成し、当初の目標を大幅に上回った。その場で一杯分ずつ豆を挽いてペーパードリップで提供される薫りたかいコーヒーに、消費者たちは「カフェショップよりも安価で、缶コーヒーよりも本格的なコーヒーが味わえる」と殺到した。その影響は缶コーヒーだけに留まらず、スターバックスやドトールなどのカフェの売り上げにまで波及している。

 このような状況の中、缶コーヒー飲料の売り上げを伸ばしている企業がある。缶コーヒー飲料の老舗ブランド、ダイドードリンコだ。同社の看板商品であるダイドーブレンドコーヒーが発売されたのは1975年。以来、40年に渡るロングセラー商品となっている。しかし、一昨年の2012年秋にシリーズを全面刷新し、新たに「ダイドーブレンド」というブランドを立ち上げてリニューアルを行った。ブランドコンセプトを「Blend is Beautiful.」とし、パッケージデザインもダイドーブレンドお馴染みのフラッグデザインを継承しつつ、ロゴを前面に大きくレイアウトした。しかし、いくら見た目をリニューアルしたとしても、それだけでコンビニコーヒーが台頭するこの厳しい状況を勝ち残れるとは思えない。

 ダイドードリンコは、ダイドーブレンドのリニューアルにあたり、主力のブレンドコーヒーはもちろんのこと、カフェで女性にも人気が高いフレーバーコーヒーに注目して、新しい商品を発表している。たとえば、昨年11月には、コーヒー発祥の地ともいわれるアラブの飲み方を再現した缶コーヒー「ダイドーブレンド ワールドレシピ 香るシナモン アラビアンスタイル」を発売したが、同商品は世界各地でのコーヒーの愉しみ方を缶コーヒーで体験しようという企画「ダイドーブレンド ワールドレシピ」の第一弾となるもので、缶コーヒーながら、中南米を中心とした5ヵ国のコーヒー豆をブレンドし、コーヒーの香りが活きるシナモンローストで焙煎した本格派だ。コーヒーとシナモンを同時抽出することで、香料に頼らずにシナモン本来の味わいと香りが愉しめるアラブの飲み方を見事に再現している。また、ワールドレシピの第二弾「Rose Black ペルシャスタイル」を5月19日より発売しているが、こちらはペルシャ湾近郊諸国の飲み方を再現したもので、バラの中でも最も香り高く最高級といわれるブルガリア産ダマスクローズを水蒸気蒸留し抽出したローズウォーターを配合し、香料無添加ながらも繊細で華やかな香りを楽しめるコーヒーに仕上がっている。確かに、コンビニコーヒーやカフェでさえも難しいような本格的なフレーバーコーヒーが缶コーヒーで気軽に愉しめるのならば、一度は飲んでみたくなる。

 フレーバーコーヒーに限らず、缶コーヒーにはコンビニコーヒーにはないラインナップの豊富さや手軽さ、持ち運びの便利さなど、メリットも多い。コンビニコーヒーがこのままさらに勢力を拡大していくのか、それとも缶コーヒー勢が巻き返しを図るのか。今年の夏は飲料業界にとっても熱い夏になりそうだ。(編集担当:藤原伊織)

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