【村山貢司の気象&経済歳時記】若者の酒離れ
2014年5月31日 08:16
大手居酒屋チェーンの業績が悪化している。ワタミは売り上げが前年比7%減で、上場以来初の赤字となった。はなの舞などを運営するチムニーは4%減、甘太郎のコロワイドは3%減であった。背景の一つには若者の酒離れがある。
価格comの調査では、週に1回程度しか飲まない、あるいは全く飲まない人の割合は50代が19%、60歳以上が17%であるのに対し、20代では48%にもなっている。また、若者が飲酒をする場所で最も多いのは自宅または友人宅で、外での飲酒は敬遠される傾向がある。一方、高年齢の層では外での飲酒の機会が比較的多いが、若者向けのメニューが多い大手居酒屋はやはり敬遠されがちである。
若者の外食離れは景気低迷で説明されることが多いが、面白いのは、あまり飲まない若者でも、美味しい酒やビールに金を使っている点である。例えば、ビールを購入する際の基準は圧倒的に味の良いことが支持されており、単価の高いエビスやプレモルが上位にランクされている。
そんな中で、アメリカのブルーボトルコーヒーの日本進出が決まった。スタバなど気軽に飲めるコーヒーというイメージから、多少高くても美味いコーヒーへの変化である。日本でも以前はコーヒー専門店といえば自宅では味わえない美味いコーヒーであったが、大都市ではすっかり見かけなくなった。
ブルーボトルは、地域によって店のスタイルを変える方法も指示されている。画一的なチェーン店は単価は安いが、全国どこにいっても同じ味であり、ゆっくり美味い酒や食事を楽しみたい層には、今後も敬遠されていくだろう。その土地のもの、旬のもの、地酒など特色を出さなければならないが、同じようなことは、すべての業界に言えるのではないだろうか。(気象予報士・経済評論家)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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