3Dプリンタに入力されたデータの違法性を判定しその場で製造をストップ
2014年5月30日 16:54
近年、3Dプリンタや3Dスキャナの技術進歩は著しい。これらは非常に高価であったが、最近では家電量販店で購入できる安価な民生用の3Dプリンタも出荷され始めている。
一方、海外のウェブサイトからダウンロードした製造用データ(CAD、STLデータなど)によって樹脂製の銃器が製造されるなどの事例も発生しているという。また、3Dスキャナを使ってキャラクター商品が模倣されるなど、著作権侵害によるビジネスへの影響も危惧されている。
こうした状況に対して大日本印刷<7912>(DNP)は、3Dプリンタを適正に利用できるセキュリティプログラムを開発した。
このセキュリティプログラムは、3Dプリンタで製造するデータから、法的認可や許諾が必要な製品(ブラックリスト対象製品)かどうかを高速で判定するもの。DNPは、3Dプリンタを適切に利用できるようCADソフトや情報セキュリティなどの関連事業者と協力して、同プログラムの有効性を検証し、実運用に向けた取り組みを進めていくという。
すべての3Dプリンタは、3次元を表現するCADデータやCGデータを、ポリゴンという三角面の集合で立体を形成するポリゴンデータ形式に変換されたデータで受け取る。その後、積層構造のデータ形式に分断および再構成された上で製造する。
同プログラムは、3Dプリンタに入力されたSTLデータのポリゴンを独自のアルゴリズムで簡素化し、ブラックリスト対象製品のSTLデータのポリゴンと高速で照合できるようにした。また、3Dスキャナなどで現物をスキャンしたデータに対しても同様に高速照合し、不法なデータと判定された場合、3Dプリンタの作動を停止させることができる。
ブラックリスト対象製品は適宜追加登録でき、銃器などの危険物だけでなく、著作権保護の対象となるキャラクターのフィギュアなどの3Dプリンタによる製造を規制することができる。また、国内の治安維持、銃器の不法所持などの防止、偽造された機械・消耗部品の流通や組み込みによって発生する機械破損などの事故防止。模造品フィギュアの流通による造形クリエータの士気低下や正規品の品質低下の抑止、などメリットがある。
今後DNPは、3Dプリンタ関連の企業や団体、情報セキュリティサービスを提供する企業などと連携し、2017年までに同プログラムの実用化を目指す。(編集担当:慶尾六郎)