触らずに物体の形と硬さがわかる NHKと東大が触感覚伝達システムを開発
2014年5月26日 10:45
筆者は小学生の時、理科の時間でカエルの解剖ができなかった。気持ち悪くて触れなかったのだ。しかし、これからは、気持ち悪いものに実際に触らなくても形や硬さがわかるようになるかもしれない。
日本放送協会(NHK)と東京大学は22日、物体の形状と硬さの両方を非接触で測定し、物体を触った感覚(触感覚)を仮想的に再現できるシステムを共同で開発したと発表した。「触・力覚ディスプレー」という装置から投影された映像に指で触れるだけで、対象物の形や硬さがわかるという。
NHKは、指先の位置に応じて押し返す力を制御し、物体に触った感覚を再現する装置である触・力覚ディスプレーの研究を進めている。しかし、これまで、システムでは形状を再現することはできたが、触感覚の伝達には、硬さの分布も併せて再現する必要があった。
このため、今回、東京大学が新たに開発した物体の形状と硬さの両方の分布を測定できる装置と、NHKの触・力覚ディスプレー技術を融合した。両技術を用いて、形状だけでなく硬さの違いも分かりやすく再現できるシステムを開発した。
このシステムは、レーザー変位計と超音波を組み合わせることで離れたところから物体の形状と硬さの分布を非接触で測定する。そして、その測定データから作成した形状と硬さの分布を表すモデルを、触・力覚ディスプレーで指先に複数の点の刺激として与えることで、物体を触った感覚を再現する。さらに、作成したモデルを仮想的な映像として映し出すことで、物体に直接触った感覚をより向上させることができるという。
触・力覚ディスプレーは、多点刺激型の装置である。この装置は指先に配置した複数の刺激点に独立した力を加えることにより、物体に触れた時の皮膚の変形を伴う感覚を再現でき、りょう線や頂点を感じながら輪郭に沿った触り方ができる。また、刺激点を3点にすることで面を表現でき、面の向きや硬さのわかりやすさが向上するという。
この研究成果は、5月29日(木)~6月1日(日)に開催する「技研公開2014」で体験することができる。将来的には、食べ物や生き物などの視覚だけでは伝えられない触感覚を伝達できる情報サービスが期待されるとしている。
実際、生き物などに触れないという人は多い。また、病原体などが感染する恐れがあるものなどを扱う場合など、医学や学術分野など応用できる分野は多い有益な技術だと思う。(編集担当:慶尾六郎)