【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ユーグレナは下値固め完了感、中期成長力を評価して出直り

2014年5月26日 09:23

  ユーグレナ <2931> (東マ)の株価は反発力が鈍く、新興市場全体の軟調ムードも影響して安値圏でのモミ合い展開が続いている。しかし4月安値まで下押す動きは見られず、足元では下値固め完了感を強めている。中期成長力を評価して出直り展開だろう。

  59種類の豊富な栄養素を有する微細藻類ユーグレナ(和名ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養をコア技術として、ユーグレナを利用した食品、バイオジェット燃料、バイオフィルムなど関連分野への研究開発を進めている。13年3月にユーグレナ粉末受託生産と微細藻類クロレラ生産の八重山殖産、13年11月にバイオベンチャーの植物ハイテック研究所を子会社化した。

  ユーグレナを活用して「Food=食料」「Fiber=繊維」「Feed=飼料」「Fertilizer=肥料」「Fuel=燃料」の順に、重量単価の高い分野から参入する「バイオマスの5F」を基本戦略としている。現在の主力事業である機能性食品や化粧品のヘルスケア事業(OEM供給、自社ECサイト「ユーグレナ・ファーム」直販など)で安定的キャッシュフローを創出しながら、バイオジェット燃料などエネルギー・環境事業への研究開発投資を進める戦略だ。

  14年4月には、微細藻類ユーグレナの特有成分・パラミロンの継続摂取による免疫バランス調整機能に関して特許出願した。パラミロンの免疫機能に関する研究を進めて、医療分野等への活用や食材としてのユーグレナの付加価値向上を目指すとしている。注目度の高いバイオジェット燃料については18年の低コスト生産技術確立と20年の実用化を目指している。また植物ハイテック研究所を子会社化して、形質転換技術による「スーパーユーグレナ」開発への取り組みも強化している。

  13年11月に発表した中期経営計画では、18年までにユーグレナの食品国内市場300億円規模、国内ヘルスケア事業の売上高150億円、営業利益30億円以上、ユーグレナの食品海外市場300億円規模を目指している。

  国内ヘルスケア事業ではユーグレナを活用して、13年12月にペット用食品事業、14年3月に自社ブランド化粧品「B.C.A.D.」事業を開始した。14年4月にはイトーヨーカ堂と「ミドリムシカラダに委員会」プロジェクトを発足し、食品メーカー8社と共同開発したユーグレナ配合食品を全国のイトーヨーカ堂店舗で販売開始した。

  海外は中国で「新食品原料」登録を取得し、伊藤忠商事 <8001> との連携で拡販に取り組んでいる。またユーグレナとクロレラがイスラム教のハラール認証を取得したため、60兆円と推測されるハラール食品市場への輸出も可能になっている。

  5月13日発表の今期(14年9月期)第2四半期累計(10月~3月)連結業績は、売上高が前年同期比75.8%増の14億53百万円、営業利益が同38.0%増の60百万円、経常利益が同19.4%減の50百万円、純利益が同93.2%減の24百万円だった。営業外費用で新株式発行関連費用を計上したため経常利益と純利益は減益だったが、自社ECサイト直販での定期購入者数増加が牽引して大幅増収、大幅営業増益だった。

  自社ECサイト直販での定期購入者数は14年4月で24カ月連続の純増となり、開設2周年で1.3万人を突破した。第2四半期累計のヘルスケア事業における食品直販売上高は前年同期比約4倍となり、売上構成比も20%を超えて売上総利益率上昇に寄与した。

  通期の連結業績見通しは前回予想(11月12日公表)を据え置いて、売上高が前期比48.8%増の31億13百万円、営業利益が同横ばいの1億76百万円、経常利益は営業外での新株式発行関連費用計上が影響して同9.0%減の2億40百万円、純利益は負ののれん発生益が一巡して同70.1%減の1億44百万円としている。

  今期に関しては、売上総利益の増加分の大半を中期成長に向けた先行投資として広告宣伝費や研究開発費に充当する方針のため、営業利益は横ばいの見込みとしている。ただし収益性の高い自社ECサイト直販での購入者数が増加基調であり大幅増収の見込みだ。食品分野の事業展開が加速して来期(15年9月期)は大幅営業増益が期待されるだろう。

  株価の動きを見ると、時折動意付く場面もあるが買いが続かず、新興市場全体の軟調ムードも影響して上値の重い展開が続いている。足元は概ね900円~1000円近辺でモミ合う展開だ。ただし4月11日に付けた安値918円まで下押す動きは見られず下値固め完了感を強めている。5月23日の終値は978円だった。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。中期成長力を評価して出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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