HEMSからμCEMSに概念を拡大するスマートハウス ホンダ+積水ハウス+東芝の実験住宅

2014年5月24日 18:11

 世界各国で進められている「スマートハウス」は、快適性を損なうことなく低炭 素化を目指し、エネルギーの効率的利用を図る住宅だ。

 昨年11月、第43回東京モーターショーで、積水ハウスと東芝、ホンダの3社が最新の次世代「スマートハウス」を合同で提案した。業界の枠を取り払った新しい試みである。

 そこで提案されたのは、HEMS(Home Energy Management System)と呼ぶ家庭のエネルギー管理システムを含めた、空調や家電、有線・無線LANなどの通信機器周辺技術、発電・蓄電・売電、自動車などを一元管理する住宅だった。企業ごとの取り組み分野の違いを超えた連携で、トータルソリューションとしてスマートハウスを提案する試みだった。

 今回、先の3社が、さいたま市に実証実験ハウスを建設し、ITやパーソナルモビリティなどの技術と、家庭、モビリティ、地域のエネルギー需給を総合的にコントロールするエネルギーマネジメント技術の検証をスタートさせた。

 この実証実験ハウスは、実際に人が居住できる二世帯住宅だ。昼間外出している子世帯での太陽光発電の余剰電力を親世帯で使うなど、各世帯で生み出した電気やお湯の二世帯間で相互供給が可能だ。

 また、ケーブルを接続せずに電気自動車(EV)への充電を行う非接触充電。EVに蓄電された電力の家や周辺コミュニティへの供給などの新たな試みを通じて、未来の暮らしを支える技術をリアルな環境で検証・改善を進める。

 今回3社は、モビリティを含めた暮らしのCO2排出量をゼロにする2020年の暮らしを想定し、実際に人が住めるこの二世帯住宅で、未来の暮らしを実現する技術の確立と実用化を目指し、さまざまな検証を行なう。この実験棟は、クルマが家の中まで入る空間とし、ロボティクスの活用に対応させたベランダまで含めた完全にフラットな床、室内レイアウトになっている。

 また、家一軒だけでなくコミュニティ単位での最適なエネルギー需給管理の実験も行なう。二世帯住宅である実証実験ハウスでは、親世帯、子世帯で作る電気を、各世帯の需要に応じて融通できるが、このエネルギーの融通を一軒の住宅だけではなく、小さなコミュニティに概念を拡大したμCEMS(Micro Community Energy Management System)という街単位でエネルギー管理を行なうことをも目指している。

 EV(電気自動車)やPHV(プラグイン・ハイブリッド車)から家庭内に供給するV2H(Vehicle to Home)は、家庭用の非常時電源としだけではなく、平時の電力のピークシフトやピークカットも視野に入れた実験を行なう。具体的には敷地内に停車したホンダ・フィットEVを、非接触充電機器を設置した車庫に自動運転で精度よく駐車できるシステムを開発・導入し、フィットEVを家庭用電源、さらにはコミュニティでの利用における課題などを検証していくという。3社が連携して近未来の生活を模索する実験住宅ということである。(編集担当:吉田恒)

関連記事

最新記事