東大など、新しい量子暗号の仕組みを開発 「読まれたら気づく」から「読めない」へ
2014年5月24日 16:59
東京大学の小芦雅斗教授・佐々木寿彦特任研究員らによる研究グループは、レーザー光源と干渉計を用いて盗聴者がほとんど情報を得ることのできない新しい量子暗号の仕組みを開発した。
量子暗号は、量子力学の不確定性原理を利用して、通信中に盗聴された場合に、そのことに気づける仕組みとして注目されてきた。しかし、十分な監視精度を保つためには、たった数百ビットの情報を送るために、最低数百万ビット以上の通信量が必要になるなど、欠点もあった。
今回の研究では、これまでとは全く異なる原理で、セキュリティ確保のために費やされる通信料を大幅に削減することに成功した。レーザー光源からの微弱光パルスにビット値を載せて送信する際、元の信号と少し遅らせた信号の両方を送り、受信者側は光検出器によってビット値を読み出す。
これは今までのように、盗聴者に「読まれたら気づく」ことによって、セキュリティを担保している訳ではなく、そもそも盗聴者は元のビット値を「読めない」という点が特徴で、量子暗号が提案されて以来、30年ぶりに仕組みの全く違う手法が開発されたことになる。
今後は、暗号通信だけでなく、量子効果の新しい活用方法そのものが広範囲に渡って応用できるのではないかと期待される。