東電、新電力通じ、電力を全国販売へ
2014年5月22日 22:52
東京電力は100%子会社のテプコカスタマーサービス(TCS)を通じ、電力を全国販売することになり、22日、経済産業省資源エネルギー庁に新電力の届出を行った。新電力は、これまでの電力自由化の過程で、新たに電力事業に参入する事業者を「特定規模電気事業者」、いわゆる新電力として届出て、既存の電力会社(一般電気事業者)との競争を促進する狙いである。
新電力は、既存の電力会社のほか、再生可能エネルギー事業者、自家発電設備を保有する鉄鋼、化学、製紙、石油会社、さらには通信会社など幅広い企業からの参入が相次いでいる。
電力会社は現在、電気事業法による地域独占体制のもとで、北海道電力から沖縄電力まで国内10社が、発電から送電、販売までを一貫して行っている。経済産業省は、2000年(平成12年)から段階的に電力の自由化を進めており、これまでに200社余りの新電力が電気事業に進出している。
電力の自由化は、2016年(平成28年)の小売全面自由化をもって総仕上げとなるが、それを見越してこの数年、新電力の参入が増えているわけである。既存電力会社は地域以外では電力を販売することができないが、新電力は、そうした制約を受けない。そのため電力需要の大きい首都圏では、関西電力や中部電力が、新電力を立ち上げて電力販売を行っている。
東電もそうした状況を踏まえ、地域を越えた電力販売に踏み切るもので、TCSは昨年7月に設立された。東電は、福島復興に向けて経営力を強化する必要があるとし、TCSによる首都圏以外での電力売上高として、3年後に340億円、10年後に1700億円に拡大していきたいとしている。(記事:南条 誠・記事一覧を見る)