「Honda Jet」の量産1号機がジュネーブの航空ショーで公開、初飛行に向けて着々と準備が進む
2014年5月22日 10:11
いよいよ「Honda Jet」が世界の空を飛ぶ日がやって来る。ホンダ初の航空機であるビジネスジェットの特徴はジェットエンジンを主翼上面に搭載する奇抜なスタイルにある。これはキャビンの静粛性と優れた燃費性能に貢献する。そのHonda Jetは、従来の小型機に比べて40%以上燃費が向上しているとされ、そのデリバリーが待たれている。
ホンダの航空機事業子会社のホンダ・エアクラフト・カンパニー(Honda Aircraft Company /HACI)は、5月20日にスイス・ジュネーブで開催されたビジネス航空ショーの「2014年ヨーロピアン・ビジネス・アビエーション・コンベンション・アンド・エキシビション(EBACE2014)」において、「Honda Jet」の量産1号機を公開した。
量産機の生産ラインにGE Hondaエアロ・エンジンズ社製の量産型ターボファンエンジン「HF120」が納入され、量産1号機にはすべてのシステムの取り付けおよびエンジンの装着が完了。今回の公開となった。最大巡航速度は以前のテスト機での発表によると778km/h(マッハ0.72)である。
量産型ターボファンエンジン「HF120」は現在、マサチューセッツ州リンにあるGEの工場で量産されているが、年内にノースカロライナ州バーリントンのホンダ エアロ・インク(Honda Aero, Inc.)へ生産を移管する。
量産機は今後、地上での機能試験を行ない、今夏に初飛行が計画されているという。現在、Honda Jetの生産工場では9機の組み立てが進んでおり、2014年6月には10機目が加わり量産体制が本格化する。
現在までHonda Jetは米国連邦航空局(FAA)の型式証明(TC/Type Certification)取得のため、FAAのパイロットによる最終的な認定飛行試験を継続している。
これまでに失速、ブレーキコントロール、フラップコントロール、スピードブレーキ、油圧および消火などのシステムに関する各種のFAAによる認定飛行試験を完了した。
同時に、高性能デジタルコントロールシステムの採用した地上試験を施工し、あらゆる荷重条件での試験を効率良く行なっているという。Honda Jetの試験のために独自開発した先進的構造試験装置を用い、現在までに、このクラスの機体の約5年の飛行サイクルに相当する2000サイクルまでの構造疲労試験を実施した。FAA型式証明の取得後に、Honda Jetのデリバリーを開始する。
Honda Jetの開発責任者であり、HACI社長の藤野道格氏は、「我々にとって最も重要なことは2015年1月~3月にFAAの型式証明を取得し、Honda Jetのデリバリーを開始することです。ここに向けて全力を尽くしています」と述べた。
また、Honda Jetのカスタマーサービス体制の強化も進めており、パイロットトレーニング用のフルモーション・レベルD・フライトシミュレーター、パイロットの操縦技術や安全性およびメカニックの知識や技能の向上を図る各種トレーニングカリキュラムを「Flight Safety International」社と共同で開発した。
フルモーション・レベルD・フライトシミュレーターについては、ハードウェアの製作が完了し、現在ソフトウェアの最終的な組み込み作業を行なっている段階だ。トレーニングについては、米国ノースカロライナ州グリーンズボロ市にあるHACI本社敷地内で今年後半から開始する予定。(編集担当:吉田恒)