近鉄、「ハルカス」「式年遷宮」効果で収益増加

2014年5月17日 10:08

 今年の3月7日に全面開業となった日本一高いビル「あべのハルカス」、そして伊勢神宮(三重県伊勢市)で20年に一度行われる、伊勢神宮の社殿を新造して宮を遷す行事「式年遷宮」などの影響により、近畿日本鉄道<9041>の業績が大幅に増加した。

 近畿日本鉄道が13日に発表した2013年3月期の連結決算によれば、売上高は前期比33.7%アップの1兆2463億円、営業利益は前期比15.1%アップの546億円、当期純利益は前期比23%アップの245億円という結果であった。不動産事業でマンション販売が好調だったほか、流通事業も伸びた。「あべのハルカス」の開業、また近畿日本鉄道の沿線にある伊勢神宮の「式年遷宮」などにより観光客が増加したことも、収益増加の大きな要因となった。

 伊勢神宮の「式年遷宮」に合わせて観光特急「しまかぜ」運行をはじめとする特急サービスを強化、また13年10月からは伊勢市~賢島間で地域特産品の振る舞いなどの車内イベントが行われる観光列車「つどい」の運行も開始した。そして「あべのハルカス」開業の影響もあって、近畿日本鉄道の鉄軌道線の乗客数は前期比1.7%アップの5億7400万人となった。こうして乗客数が前期を上回るのは、22年ぶりのこととなる。

 また同日に発表された15年3月期の業績予想として、売上高は前期比3.5%アップの1兆2900億円、営業利益は前期比9.8%アップの600億円、当期純利益は前期比6.5%ダウンの230億円を見込んでいる。

 「あべのハルカス」の全面開業により、百貨店やオフィス、そしてホテルや展望台などの売り上げが寄与するものとみられている。しかし法人税の支払い負担が増加するため、純利益は6.5%ダウンの230億円と予想している。また伊勢神宮の「式年遷宮」による増収の反動減、消費税増税前の駆け込み需要に伴う反動減などにより、運輸業は減収となるとの見通しも示している。

 そして近畿日本鉄道は同日、今年の2月に発表していた純粋持株会社制移行に伴い、15年4月から名称を「近鉄グループホールディングス」に変更するとの発表も行った。(編集担当:滝川幸平)

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