京大とKEKと茨城大、ブラックホールを記述する新理論をコンピュータで実証
2014年5月1日 19:06
京都大学と高エネルギー加速器研究機構(KEK)と茨城大学が参加する共同研究グループは、ブラックホールで起きている現象を精密に記述するための理論を、コンピュータ計算によって実証した。
ブラックホールは密度や質量が極めて高く、その強い重力によって光さえも飲み込んでしまう天体である。マクロな視点では、アインシュタインの一般相対性理論によってブラックホールを理解することができるが、マクロな世界で厳密に何が起きているのかを記述することは難しかった。
そこで、1997年にアメリカの研究者マルダセナが、ブラックホールを記述するための新しい理論を提唱した。それは商品券などに印刷されているホログラム(平面に印刷されているが立体に見える)と同じように、空間の歪みを平面上に記述するというものだ。
今回の研究では、その理論をコンピュータで計算し、超弦理論という別の理論によって記述されている結果とよく一致することを明らかにした。
本研究チームの研究者は、「本研究をさらに発展させることにより、ブラックホールの蒸発に関連したさまざまな謎が解明できるものと期待されます。」とコメントしている。(ブラックホールの蒸発とは、ブラックホールがエネルギーを失い、消滅していく現象のこと)
なお、今回の研究成果は、2014年4月17日付の米国科学誌「Science」のオンライン版に掲載された。