東北電力、米国からLNG輸入で低廉な電気の安定供給目指す

2014年4月30日 06:59

 東北電力<9506>はアメリカのダイヤモンドガス・インターナショナル社(以下、DGI社)との間で、米国キャメロンLNGプロジェクトからLNG(液化天然ガス)の購入に関する基本合意書の締結を行ったと4月24日に発表した。

 今回の基本合意では22年から約16年間、年間約30万トンのLNGを購入する予定である。本プロジェクトは、キャメロンLNG社がルイジアナ州で保有と運営を行なうLNG受入基地に、東北電力の天然ガス液化施設を設置してLNGを輸出する計画である。売主は三菱商事株式会社<8058>の100%子会社であるDGI社になる。東北電力が購入するLNGは、同じく三菱の子会社のエムシー・グローバル・ガス社(以下MCGG社)がシェールガスを含むアメリカ産天然ガスを調達し、液状化業務の委託先になるキャメロンLNG社が、液化と製造を行なう流通経路になっている。

 今回のLMGの購入価格は、従来までの原油の価格と連動するJCC方式(全日本輸入原油平均CIF価格)ではなく、アメリカにおける天然ガス・スポット価格が適用されることになり、LNGを購入する際の、価格の指標の多様化も実現されるとのことである。

 東北電力は「低廉で、良質な電気の安定供給」を方針に資材や燃料を調達し、経営の効率化を行っているが、燃料費の値上がりと円安が進み、やはり厳しい状況下とのことである。11年3月に大きな被害をもたらした東日本大震災が発生し、7月には新潟、福島豪雨と災害の影響もあり収支も悪化したため、さらに年平均で約800億円の効率化を進めている。コストの削減項目には人件費や設備投資費用の他に、燃料費と購入電力料挙げられており、八戸火力5号機の燃料を軽油からLNGへの転換や、LNG購入のスポット価格の低減も含まれる。

 東北電力では、今回のプロジェクトの基本合意はLNGの調達の安定化や、経済性の向上に繋がると考えており今後もLNG価格指標の多様化と経済性を確保して、この先のLNG市場に柔軟に対応していくとのことである。

 震災の影響は未だに大きいが、東北電力はエネルギーの情勢が変化する中、新エネルギーの新たな可能性を追求し、多様なリスクへの対応を強化する計画である。本プロジェクトには大変期待したい所である。(編集担当:高井ゆう子)

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