遠隔操作ウィルス事件:片山祐輔被告から犯人に告ぐ「私は無実だと言ってほしい」

2014年4月28日 15:58

【4月28日、さくらフィナンシャルニュース=東京】遠隔操作ウィルス事件(平成25年合(わ)第48号等事件)で、偽計業務妨害、威力業務妨害、脅迫、不正指令電磁的記録借用などの罪に問われている元IT会社員の片山祐輔被告が25日、東京都内の日本外国特派員協会(FCCJ)で会見を行った。

 佐藤博史主任弁護士(司法修習所第26期)から事件の簡単な概要と論点の整理がなされた後、片山被告自身が口を開いた。

 以下、片山被告のコメントを紹介する。

 私は昨年2月に突然逮捕されました。合計4度の逮捕、そして1年1ヶ月にわたる長期勾留。そして保釈されてからも続く公判。現在に至るまで嵐のような日々が続いています。
逮捕された当時からの状況は、第1回公判の冒頭陳述で述べたとおりです。警察によるマスコミへのリーク、見切り発車での逮捕。ウソだらけの大本営発表という大きい問題に直面しました。

 私は逮捕される前から、警察と複数のマスコミに尾行され、プライバシー行動を盗撮されました。そして逮捕後、「私の持っていたスマートフォンが事件に使われた事件に使われた写真が復元された」、「FBIから決定的な証拠がもたらされた」というような嘘の警察発表により、報道は、私を100%犯人扱いし、プライバシー行動の映像を使いながら、面白おかしく報道されました。

 家宅捜索を受けたところまでは仕方がなかったと思います。真犯人に私が犯人であるかのような工作をされた以上、捜査線に上がるのは規定事項だったと思います。

 問題は、警察が、家宅捜索令状とともに、多数のマスコミを引き連れて逮捕状を持って来たことです。これにより、警察は引き返すことはできなくなってしまった。私を逮捕することを大々的に報道させてしまった。そうした手前、引くに引けなくなり、嘘の発表とへりくつを重ね、私を1年以上拘束し続けたということです。

 無理矢理逮捕したこと。そこが、警察にとってもポイント・オブ・ノーリターンだったと思います。

 いきなり逮捕ではなく、任意の事情聴取で私の話を聞くべきでした。もちろんマスコミに漏れないように情報統制を徹底した上で。丁寧に調べてもらえれば、DNAの不一致やアリバイなどの不一致で、私は逮捕されなかったと思います。

 取り調べが可視化されないことの弊害にも直面しました。可視化を要求すると、警察官も検察官も取り調べをすることを拒否するようになりました。私の話を聞くことをボイコットするようにもなった。私に対して取り調べが行われたのは、逮捕されて最初の一週間だけです。

 1年1ヶ月間拘留されている間、接見禁止されていたことも苦痛していました。面会も手紙のやりとりもできませんでした。

 受刑者でも、手紙は最低月4通、面会は月2回認められているのに、これは、何の罰なのかと常に思っていました。保釈申請、接見禁止解除の申請を弁護人が何度も出したが、裁判所は却下し続けました。いつも証拠隠滅の恐れ、逃亡の恐れ、という理由です。共犯者がいるわけでもなく、隠滅できる証拠があるわけでもないのにかかわらず、まともな理由も示さないで却下する裁判所にも問題が多いと感じました。

 私も弁護人も常に言い続けている主張として、

・私にはウィルスをつくるスキルがないこと、製品レベルを開発した経験がないこと
・雲取山にUSBメモリを埋めることができなかったこと。雲取山には後日、真犯人が埋めた可能性が高いこと
・江ノ島の猫の首輪から別の人間のDNAが出ていること。江ノ島の防犯カメラからはどうやっても私は犯人と同じ写真は撮れないこと
・メモリカードのタイムスタンプ日時にアリバイがあること

 このような様々な矛盾が判明しているにもかかわらず、私は未だ刑事被告人という立場です。

 これまで7回の公判がありました。現在は、検察官の立証段階ですが、検察はこれらの矛盾を無視し、もっともらしい説明をつけて、裁判所を騙そうとしていると感じます。拘置所から出ることが出来たとはいえ、まだまだ日常に戻れる日は先になりそうです。

 私が勾留されている間に、国連拷問禁止委員会にて、アフリカの委員が、「日本の司法は中世だ」と言われ、日本の大使がそのことに弁明したところ失笑され、「シャラップ」と言い返して問題になったと私は拘置所から出てきた後に知りました。ちょうど私は冒頭陳述で、「江戸時代」と表現した。江戸事件は正確には近世ですが、日本の司法が現代的ではないという意味では、この大使の発言は正しいと思います。

 この国の司法の現状を私を通してみていただければ幸いです。また、真犯人には自首してほしいが、無理なら「片山は無実だ」と言って欲しいです。【了】

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