上場企業75%が初任給据え置きも前年より20ポイント減少

2014年4月28日 10:03

 東証一部上場企業の今年4月入社者の初任給は据え置きが75.5%で、95%の企業が据え置きであった前年と比べ、20ポイント減少した。全学歴引き上げも23%に上り、前年より19ポイント増加した。民間調査機関の労務行政研究所(理事長:矢田敏雄)がまとめた、今年4月入社者の決定初任給調査の東証第1部上場企業237社に関する速報集計で明らかになった。

 調査項目は14年度の賃金見直しによって確定された14年4月入社者の決定初任給(学歴別)。なお、初任給は原則として時間外手当と通勤手当を除く、諸手当込みの所定内賃金である。東証第1部上場企業1696社と、生命保険、新聞、出版でこれに匹敵する大手企業11社を加えた合計1707社のうち、回答のあった237社を集計した。

 調査によると、2014年度の初任給を前年度と同額に据え置いた企業が75.5%となった。初任給の据え置き率は、06年度以降企業の採用意欲の高まりを反映し、低下傾向にあった。しかし、世界的不況に陥った09年度は一転、92.7%と9割を超え、以降は95%前後で推移していた。14年度は75.5%で、13年度(95.4%)に比べて約20ポイント低下した。

 今春闘交渉では、輸出産業を中心とする企業業績の回復、デフレ脱却に向けた賃上げの政労使合意などを背景に、大手を中心にベースアップや賃金改善の回答が相次いだことが、初任給の動向にも影響している模様。ちなみに、初任給を「全学歴引き上げ」た企業は、13年度4.2%、14年度23.2%と、19ポイント増えている。

 初任給額は、大学卒(一律設定)20万6258円、大学院卒修士22万2998円、短大卒17万4329円、高校卒(一律設定)16万1687円の水準。同一企業で見た前年度の金額に比べ、それぞれ582円・0.3%、552円・0.3%の上昇である。

 初任給の据え置きは06年に66%まで下がったものの、それ以降は95%前後の高い数値で推移し、ほとんどの企業で据え置きとなっていた。今年は実に5年ぶりに据え置き企業が大きく減少し、さらに全学歴における引き上げも4分の1で実施されるなど、デフレ脱却に向けた着実な歩みが感じられる結果となった。(編集担当:横井楓)

関連記事

最新記事