近い将来、電源コードや充電器が不要になる?
2014年4月26日 18:36
近い将来、「電源コード」が世の中から無くなるかもしれない。
電気を使用する機器類のほとんどのものには、電源コードがついて回る。いくら煩わしくても、電気を供給できなければ動かないのだから仕方がない。しかし、断続して電気を使用するテレビや冷蔵庫のような大型家電ならまだしも、スマホや携帯電話、ノートPCを始めとするモバイル機器の電源コード(充電器)に、何となく矛盾やストレスを感じたことのある人も多いのではないだろうか。そんなストレスを解消する技術「ワイヤレス給電」がいよいよ本格的に動き出した。
世界17カ国、211の団体が加盟するワイヤレスパワーコンソーシアム(WPC)が推し進めるワイヤレス給電技術の国際規格「Qi」(チー)への注目度が今、急速に高まっている。
Qiは、ケーブルやアダプター不要の無接点充電ができるだけでなく、Qiのロゴが付いたすべての機器は、すべてのQi充電器で充電できる。つまり、機器ごとに別々の充電器を用意する必要がなくなるので、これが普及すれば、世界中どこに行っても、電源コードや充電器なしにどんな機器でも充電できるというわけだ。
例えば、Qi対応のテーブルとカップができれば、カップをテーブルに置くだけで保温できるし、場合によっては温めることや冷やすことも可能になるらしい。同様に自動車に搭載されたならばと考えると期待は高まるばかりである。もちろん、スマホやノートPCで考えれば置いておくだけでバッテリーは常時満タンになるだろう。
このWPCの国際会議が4月中旬に京都で開催された。日本企業では東芝をはじめ、ソニー、パナソニック、ロームが正会員として参加しているが、第37回となる国際会議は京都に本社を置くロームがホスト企業を勤めたことで、京都での開催となった。今回の会議では、これまでの5Wの低電力向けQi規格に加え、タブレット端末まで充電できる15Wの中電力向けQi規格の仕様の最終確認や検証などが行われ、14年中に中電力向けQi規格の策定完了を目指す考えが示されている。
また、ロームは昨年9月、最新Qi規格Low Power Ver1.1に準拠したワイヤレス給電受信用制御ICを1chipで開発している。同製品は、これまでワイヤレス給電の大きな課題であった給電時の温度上昇を、1chipでありながら従来品の約75%にまで低減し、実装面積削減と低発熱を両立させることに成功しただけでなく、業界初の位置ずれ検知機能を搭載し、位置ずれ時の充電効率低下を検知できるため、高効率動作を可能にしている。
Qiの普及が加速すれば、自宅やオフィスはもちろん、カフェや新幹線のテーブルなど、あらゆるところで充電することが可能になる。アメリカの調査会社PikeResearchでは、2012年に10億米ドルだった市場規模が、2020年には118億米ドルに拡大すると予測しており、ここ数年で爆発的な市場拡大が期待されている。日本もこの世界規模の大きな波に乗れるか、WPC正会員の4社に大いに期待したいところだ。(編集担当:藤原伊織)