鬼才ホドロフスキー監督が語る 日本との繋がり、アートを創り続ける理由と若さの秘訣
2014年4月25日 17:00
23年ぶりの新作となる『リアリティのダンス』を引っさげ、来日を果たしたアレハンドロ・ホドロフスキー監督が、4月24日に東京・新橋のスペースFS汐留にて来日記者会見を行った。 『エル・トポ』、『ホーリー・マウンテン』、『サンタ・サングレ/聖なる血』などカルト的な人気を誇る作品の監督として知られ、バンド・デシネ、小説、詩集などを出版、タロット占い師、サイコセラピストなど様々な顔を持つチリ出身のホドロフスキー監督。先日22日に行われた『リアリティのダンス』のプレミア上映会では、真っ白な衣装がその神々しさを引き立てていたが、この日は黒のスーツ姿での登壇となった。 まずは、50年前にマルセル・マルソーとともに初来日し、日本を知る事に文化的な感動を感じ、そこから自身のアートが変わっていったことを述べ、『ホーリー・マウンテン』では武道、そして『サンタ・サングレ/聖なる血』では日本のポルノなど、日本文化が作品へ与えた影響について語った監督。日本との繋がりは幼少期から今日に至るもので、生まれ育ったチリ・トコピージャを舞台とする最新作『リアリティのダンス』で登場する床屋も実在し、当時日本人によって経営されていたこと、そして撮影の為に久しぶりに故郷に戻ると、街並みに変化はなく、床屋も健在で、当時の店主にそっくりな日本人が働いていた、というエピソードも披露。 23年間のブランクがあったことに対しては、様々なアートフォームに携わり「創造することは止めていない」と話し、「映画的に何か伝えたいことがある時が来るのを待っていた。映画を作る時は何かを言うべき時で、1本の映画が完成した時に自分の一つの人生が終わり、そこに言うべきことをすべて込めている。」と続けた。そのゆえ自身の作品は、商業映画に対抗するものであり、言いたい事もないのに“ビッグマック”を作るのと同じように毎年、毎年作品を発表するするような監督ではないことをアピール。「映画を作るのは、アートの為で、金の為ではない。」、と熱弁を振るった。さらに、これまでは物語を語ってきたが、今作で初めて自叙伝でパーソナルな作品に挑んだことで、“心の治療”となり、厳しかった父を許し、息子たちとの関係を見直し、更には妻と働くことで、パーソナルなアート作品を作り上げたことを明かした。 そして話は、自身が原作を手掛けたコミックを題材とした次回作『フアン・ソロ』にまで及び、「ゴミ箱にいるような人間」が様々なトラブルを経て、“人間的な”人生を送り、“生き残る”という感情に芽生える主人公を通じて「人類を救済するような作品になる」と、目を輝かせながら語り、衰えを知らぬクリエイター魂を見せつけた。
そんな監督も御年85歳。若さの秘訣について問われると、タバコ、アルコール、コーヒーを控え、赤身を食しない健全な生活を送り、若い妻がいること、考え続け、創り続けることに加え、日本の辞世の句を引合いに出し、毎日詩を書くことが一番効果があると話した。最後に『リアリティのダンス』の衣装を手掛け、今回監督とともに来日を果たした妻のパスカル・モンタンドン=ホドロフスキーも登壇し、監督との馴れ初めを語り、会場を沸かせた。 なお、『リアリティのダンス』は、7月12日より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、 渋谷アップリンクなどで上映がスタートし、全国順次公開される。
写真:西岡浩記 ◎作品情報『リアリティのダンス』監督:アレハンドロ・ホドロフスキー2014年7月12日(土)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、 渋谷アップリンクほか、全国順次公開INFO: http://www.uplink.co.jp/dance/(c)“LE SOLEIL FILMS” CHILE ・ “CAMERA ONE” FRANCE 2013 『ホドロフスキーのDUNE』監督:フランク・パヴィッチ出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ミシェル・セドゥ、H.R.ギーガー、クリス・フォス、ニコラス・ウィンディング・レフン2014年6月14日(土)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほか全国順次公開!INFO: http://www.uplink.co.jp/dune/(c) 2013 CITY FILM LLC, ALL RIGHTS RESERVED