韓国映画『さまよう刃』、名場面BEST3を公開

2014年4月19日 12:22

 観客たちによる好評と口コミ、そして現代社会に投げかける重大なメッセージで連日話題を集めている韓国映画『さまよう刃』(監督:イ・ジョンホ、主演:チョン・ジェヨン、イ・ソンミン)が興行スピードを加速させている中、観客たちが選んだ名場面BEST3が公開され注目を集めている。

 『さまよう刃』は、一瞬にして娘を失い殺人犯になってしまった父、そして彼を逮捕しなければならない刑事の胸痛む追撃を描いた作品。公開後、胸を打つ主人公たちの台詞やシーンが観客たちの間で話題となっている。

■遺体安置室―冷たくなってしまった娘の遺体を目の当たりにした“サンヒョン”

 映画序盤、観客たちの胸を痛めたシーンは、父“サンヒョン”が娘の遺体を目の当たりにする遺体安置室でのシーン。娘の死をどうしても信じることができず事実を拒もうとする“サンヒョン”だったが、遂に遺体安置室に入り冷たくなってしまった娘の顔を確認したあと、裂けてしまった爪を見ながら恐る恐る手に触れる。

 事実を受け入れられず苦しむサンヒョンの姿は全ての観客の胸を打った。“サンヒョン”役を演じたチョン・ジェヨンは、「僕も親の立場なので、この作品は肉体的より精神的に大変だった」と、子どもを失った親の衝撃を演じた感想を語った。

■シラカバの森―守ってあげられなかった娘に対する申し訳なさで嗚咽する“サンヒョン”

 2番目の名場面は、映画後半部で描かれる“サンヒョン”の嗚咽シーン。娘を失ったサンヒョンはどうしてもその怒りを抑えることができず犯人の少年を殺害してしまう。

 そしてもう一人の共犯者を探す過程でサンヒョンはたった一度も悲しみを表に出さなかった。シラカバの森の中で全身が壊れたようにその場に崩れながら嗚咽するサンヒョンの姿は、これまで我慢してきた気持ちの塊をいっぺんに表出するかのようだった。

 守ってあげられなかった娘に対する申し訳なさから、肉体的苦痛に耐えながらも追撃をやめることのできない父親の気持ちがこのシーンで初めてあらわになる。「オレがここでやめたら娘が可哀想過ぎるじゃないか。このまま忘れてしまったら何事もなかったことになるじゃないか!」というサンヒョンの台詞は、彼がなぜわざわざ辛い道を歩いて行くしかなかったか、彼の気持ちを直接的に表している。娘“スジン”の幻影が“サンヒョン”の頭を撫でる姿は観客の胸をより切なくした。

バスケットボール場―「約束したじゃないか。最後まで見届けると。」観客たちの心臓に突き刺さった“オックァン”の最後の台詞

 最後の名場面はエンディング部分だ。全てが終わった状況で“オックァン”はバスケットボール場でバスケをする一人の子供を見つめながらパートナーである後輩刑事の“ヒョンス”に語る。「ゲーム一つのために友達を殺した子が今笑いながらバスケをやっている。死んだ子が新しい人生の踏み台になったってことか」。この台詞は、観客たちに多くのことを考えさせる。

 “オックァン”は「刑事生活17年、被害者家族にかけてあげる言葉は少しも変わっていない。ただ我慢するしかないと。法律は守らなければならないと。全てを失った人たちに・・・」と付け加えた。「このまま終わるのか?」というヒョンスの問いに「約束したじゃないか。最後まで見届けると」と答えたオックァンの一言は、今回の事件が伝えたかった社会問題、そして罪を犯す青少年たちに対する持続的な関心と我々全てが考える必要があるというメッセージを投げかけながら深い余韻を残した。

 なお、映画『さまよう刃』は、4月10日に公開され現在絶賛上映中だ。(翻訳:宮本りさ)

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