次世代「Wi-Fi」と「Wi-SUN」で創る、「早い」「つながる」通信環境

2014年4月15日 20:36

 AppleのiPhoneやiPadに代表されるスマートフォンやタブレットなど、モバイル機器の利用者が爆発的に増えている。日本航空がキャビンアテンダントの業務の効率化・活性化のためにiPadを使っていることは有名だ。業務拡大を目的に、多くの企業でモバイル機器が活用されている。

 モバイル機器の普及が著しいなか、大容量のデータを扱うモバイル機器からのアクセスを想定した、高速無線LAN環境の構築が重要性を増している。こうした要求に応える技術が、現在、標準化が進められている次世代高速無線LAN規格「IEEE 802.11ac」である。「IEEE 802.11ac」は理論上、1Gbps以上のデータ伝送が可能で、2015年には「Wi-Fi」機能を搭載した携帯端末の7割で採用される見込みだという見解もあるようだ。

 IEEE(アイ・トリプル・イー)とは「The Institute of Electrical and Electronics Engineers」の略で「米国電気電子学会」のことだ。各種電気電子規格の標準化活動を推進する組織で、業界のデファクトスタンダードとなっており、コンピュータの通信関連では無線LAN規格のIEEE 802.11やFire WireのIEEE 1394などが有名だ。

 無線通信の高速化を求める一方で、よく飛びよくつながる通信規格「IEEE802.15.4g」にも注目が集まっている。きっかけは、東京電力が今季から採用するスマートメーターが、この「IEEE802.15.4g」を組み込んだ「Wi-SUN(Wireless Smart Utility Network)」に準拠することが決定したからだ。「Wi-SUN」を使って、スマートメーターとHEMS(Home Energy Management System)が無線でデータを送受信するようになるのである。

 京都の半導体メーカーであるロームは、いち早くこの「Wi-SUN」に対応した汎用の無線通信モジュール「BP35A1」を開発。この4月からサンプル出荷を開始した。サンプル価格は1万円/個(税抜き)で、8月から月産3万個体制で量産を開始するという。

 今回、ロームが発表した「BP35A1」は、スマートメーターで動作するのはもちろんだが、一般的な白モノ家電やエアコン、照明機器などに組み込んでも「Wi-SUN」通信を可能とする無線通信モジュール。アンテナを内蔵し日本の電波法認証も取得している。また、HEMSに対応したソフトも搭載していることも特徴だ。

 「Wi-SUN」という無線通信は、低消費電力で通信距離が長く障害物に強いという特徴がある。家の中のさまざまな電子機器が安定的で高品位な通信ネットワークを組むために最適な通信環境なのだ。

 タブレットやPCでインターネット上の大容量のデータや画像、動画などをやり取りするためには次世代「Wi-Fi」を使い、安定性と高品位な通信が要求されるホームセキュリティやエネルギーマネージメントには「Wi-SUN」を、という無線通信技術の棲み分けが進む。(編集担当:吉田恒)

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