過酷な当直勤務 35%の医師が「ヒヤリ・ハット」経験
2014年4月13日 22:35
病院に勤務する医師の当直をめぐる過酷な状況の実態が明らかになった。調査は、株式会社ケアネット<2150>が当直勤務経験のある医師1000人に対し行ったもの。調査日は2014年3月21日。
当直の回数と当直中の睡眠時間について尋ねたところ、20代は平均当直回数が月4.4回、平均睡眠時間は4時間7分。30代は平均当直回数が月4.1回、平均睡眠時間は4時間17分。40代は平均当直回数が月3.6回、平均睡眠時間は4時間28分。50代は平均当直回数が月3.2回、平均睡眠時間は4時間50分。平均すると全年代において、平均当直回数は月3.5回、平均睡眠時間は4時間34分となった。
当直前後の勤務体系に関しては、当直前は、通常勤務が98.3%、半日勤務が1.0%。当直後いわゆる「当直明け」は、通常勤務が83.3%、半日勤務が12.7%、勤務なしが2.7%となっている。
医療事故や大きなミスには至らないものの、思わず「ハッ」としてしまうようなアクシデントを「ヒヤリ・ハット」というが、当直勤務が原因と思われるヒヤリ・ハット経験の有無に関して、「ある」と答えた人が、34.9%。「ない」と答えたのが65.1%となった。両者を比較すると、あると答えた人の当直中の平均睡眠時間は、4時間08分。ないと答えた人は4時間48分となった。「ある」と答えた医師のほうが、当直回数が多く、当直中の睡眠時間も少ない傾向にあった。
ヒヤリ・ハットの内容としては、「薬剤の処方(薬剤名・量など)のミス」が最も多い。ほか、「診察中や手術中に眠ってしまった」「患者を間違え、指示を出した」「針刺し事故」等が挙げられ、場合によっては大事故にも発展しかねない危うい実態が明らかになった。
自由回答では、「当直明けはツライ」「当直明けは休みにしてほしい」「せめて半日だけでも」「当直ではなく、夜勤だ」と当直明けの勤務の改善を訴える声が多かった。一方で、「休むとなると、代わりがいない」「人員不足のため仕方がない」「病院の経営上やむを得ない」など人員不足から過酷な状況を強いられている現状を達観する声も聞かれた。
今の時代、精神的肉体的にも負担の少ない仕事はほとんどない。医師に限らず過酷な勤務を強いられている人も多いだろう。しかし、医師の場合は対象が患者であるだけに、ささいな「ヒヤリ・ハット」から、大きな事故につながる可能性がある。(編集担当:堺不二子)