人工冬眠を利用した重傷患者の治療、米国で実験開始へ

2014年3月30日 13:05

瀕死の重傷患者を人工冬眠の状態にすることで処置可能な時間を伸ばす技術の実験が米国ペンシルバニア州ピッツバーグのピッツバーグ大学医療センター(UMPC)プレスビテリアン病院で実施されるそうだ(New Scientistの記事ギズモード・ジャパンの記事本家/.)。

この技術では、冷却した生理食塩水で患者の血液を置き換えることで急速に体温を低下させ、患者を人工冬眠状態にする。通常の体温では心停止して酸素供給が行われなくなると、5分程度で脳が回復不可能なダメージを受けてしまう。これに対し、低体温状態では必要とする酸素が少なくなるため、脳にダメージを与えることなく、より長い処置時間を確保できるという。

人工冬眠治療チームの出番となるのは、搬送されてきた重症患者が心停止し、心拍が回復しない場合だ。同様の症例は同病院で1か月に1回はみられるが、従来の治療法での生存率は7%以下だという。初めに冷却した生理食塩水で血液を置き換え、15分ほどで体温を摂氏10度まで低下させる。これにより患者は仮死状態となり、2時間程度の処置時間が確保できるという。処置が終わったら再度血液を体内に戻すことで患者は蘇生する。心拍が回復しない場合は蘇生術を施すことになるとのこと。

実験は当初10名の患者を対象に行い、この技術を使用しないで治療した患者10名と比較。その結果を元に手法の見直しを行ったのち、さらに10名の患者を治療する計画とのことだ。 スラッシュドットのコメントを読む | 医療 | アメリカ合衆国

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