進展する再生医療 SBIファーマとリプロセルがES/iPSで提携
2014年3月29日 14:10
STAP細胞は何かと問題になっているが、同じ万能細胞でもES細胞(胚性幹細胞)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)は順調に開発が進んでいる。SBIホールディングス<8473>の子会社で5-アミノレブリン酸(ALA)を利用した医薬品、健康食品及び化粧品の研究・開発等を行っているSBIファーマとES/iPS細胞の研究試薬販売や創薬支援、臨床検査事業を手掛けるリプロセル<4978>は、ALAを応用したES/iPS細胞関連技術に関する契約を締結、共同研究を進める。
ALAとは、体内のミトコンドリアで作られるアミノ酸のこと。ヘムやシトクロムと呼ばれるエネルギー生産に関与するタンパク質の原料となる重要な物質だが、加齢に伴い生産性が低下する。ALAは、焼酎粕や赤ワイン、かいわれ大根等の食品にも含まれるほか、植物の葉緑体原料としても知られている。
今回の締結により、SBIファーマの持つALAの細胞活性化能を利用する技術とリプロセルの持つES/iPS細胞技術を融合する。ES/iPS細胞の培養と、細胞に適切な刺激を与え臓器を構成する細胞など特定の機能を持つ細胞に再び変化させる分化誘導という技術を効率化する。
これにより、リプロセルのiPS細胞事業を飛躍的に加速化・効率化できるとしている。また、SBIファーマにとってはALAの新たな応用分野の開拓が期待でき、この共同研究は両社にとって大きな意義を持つとしている。
リプロセルは、2009年に世界で初めてヒトiPS細胞を用いた創薬支援事業を開始したES/iPS細胞ビジネスの先駆者的企業。現在、ES/iPS細胞に関する研究成果を、研究試薬、創薬支援、テーラーメイド医療、臨床検査など広く利用できる形で事業化している。また、13年にはタカラバイオと協業し、カスタムメイドのiPS疾患モデル細胞「ReproUNUS」を発売、アルツハイマー病神経細胞などの疾患モデル細胞を提供している。
一方、SBIファーマは、国内で既にALAを利用した悪性神経膠腫の経口体内診断薬「アラグリオ」を販売している。国内外の様々な大学や医療機関等と共同でALAを利用した創薬開発や臨床研究を進めている。
リプロセルはすでにES/iPS細胞ビジネスでは実績のある企業。SBIファーマは、国内で既にALAを活用した新薬を発売している。両者の技術の融合で万能細胞が身近になることを願いたい。(編集担当:慶尾六郎)