スマホの移動履歴から「つながり」を類推 エリア・マーケティングに新たな可能性

2014年3月29日 17:19

 電通国際情報サービス(ISID)<4812>は、放送大学の川原研究室と共同で、商業施設等の特定エリア内に滞在する不特定多数の人物間の知人関係の有無を、スマートフォンの移動履歴から類推する「知人類推アルゴリズム」を開発した。さらに、実証実験でその有効性を明らかにした。

 この実験は、屋内測位システムを設置し、スマートフォンとデジタルサイネージを用いて来街者に情報提供を行う大型複合施設「グランフロント大阪」で行った。ユーザーの「チェックイン」情報をトリガーとして得られる行動履歴をもとに、不特定多数のユーザーから知人を類推する手法と、グループ内での特定の人の影響度を類推する手法の妥当性について検証した。

 グランフロント大阪内で被験者が帯同するスマートフォンの移動履歴を、ISIDオープンイノベーション研究所(イノラボ)と放送大学川原研究室が共同開発した「知人類推アルゴリズム」を用いてシミュレーションした結果、複数の被験者が同時にグランフロント大阪内に60分間滞在した場合、100%の確度で被験者同士が知人であるか否かを類推できることが確認された。

 ソーシャルメディアの普及に伴い、SNS上の「つながり」をマーケティングに生かす手法が浸透しつつある。ISIDでは、今回開発したアルゴリズムにより、実空間の特定エリアにおける人物間の「つながり」の類推が可能となることで、位置や空間の共有状況に基づく、新しいエリア・マーケティングへの応用が期待されるとしている。

 ISIDが2011年4月に設置したオープンイノベーション研究所は、様々な先端技術の実用化に向けて、企業や教育機関などと協働し、技術研究やサービス開発に取り組んでいる未来の街づくり」「次世代教育」「未来のテレビ」などをテーマに、各分野のス ペシャリストと共同でアプリケーションのプロトタイプ開発や実証実験を推進している。

 なお、このアルゴリズムの詳細および実証実験の成果を、3月20日からシンガポールで開催されたソーシャル・サイエンス分野の国際学会「2014 4th International Conference on Applied Social Science (ICASS 2014)」で発表された。(編集担当:慶尾六郎)

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