トヨタ、矢崎総業・豊田通商とともに、銅のリサイクル技術を開発
2014年3月26日 08:40
25日、トヨタは矢崎総業・豊田通商とともに、銅を使用した車両電気部品であるワイヤーハーネスについて、Car to Carリサイクル技術を世界で初めて開発したと発表した。これには先の3社に加えて、豊田通商取引の中部地区解体業者8社も加わっている。
元来、銅は新規に精錬されたものとリサイクル品に遜色がないため、再利用に関する取り組みが各方面で行われている。今回開発された技術は、解体業者が廃車された車両などから取り外したワイヤーハーネスを、精錬された銅とほぼ同様に使用できる品質である銅純度99.96%の素材として、生産を可能にしたものだ。
これまで、廃車などからワイヤーハーネスを取り外したときには、ヒューズボックスなどが付随していたので、それがリサイクルをする際の不純物の原因になっていた。
そのため、銅だけをワイヤーハーネスとしてリサイクルするのは難しかったのである。そこで、解体業者の前処理も含めた品質条件の確立などといった技術開発を進めたところ、2011年にはこれまで除ききれなかった微小な不純物の混入を防ぐ機械式選別方法の開発に成功。
2013年からはトヨタの本社工場内に設置した実証ラインで再生銅の少量生産を開始した。それを矢崎総業で品質評価し、ワイヤーハーネス製造ラインに投入することで実用化を図ってきた。それが今回、安定的に生産できる段階までに至ったというわけだ。
現在、銅鉱石の残存可採年数が40年程度と言われる中、新興国の電機関連インフラなどといった需要の拡大で、消費量が増加傾向にある。さらに、自動車業界においてもハイブリッド車や電気自動車など、モーターを活用する次世代車両が増えてきており、これらにも銅が多く使用されている。すなわち、ワイヤーハーネスのリサイクル促進は、自動車業界の大きな課題の一つだといえるのである。
こうした状況を踏まえ、同社は2010年から矢崎総業・豊田通商・解体業者と共同で技術開発に着手し、共同でリサイクル技術の開発と次世代型のリサイクルシステムを構築した。
同社では2016年以降、このシステムを発展させることで年間1,000tレベルの再生銅の生産を目指している。(記事:松平智敬・記事一覧を見る)