電通による上場企業の広報力調査結果
2014年3月24日 23:14
電通パブリックリレーションズ内に設立された企業広報戦略研究所は18日、上場企業における「8つの広報力」の視点から広報活動について調査し、結果を発表した。14年1月から2月の間、上場企業3,503社の広報担当責任者を対象とし、その内479社から回答を得た。8つの広報力とは「情報収集力」「情報分析力」「戦略的構築力」「情報創造力」「情報発信力」「関係構築力」「危機管理力」「広報組織力」である。
算出方法は広報活動に関する設問80項目を8つの広報力に分類し、それぞれの広報力を構成する10項目の基礎点を各0.8点とする。当研究所の専門家パネル(研究者、メディア、広報実務家12名)の各メンバーが、戦略的重要性が特に高いと評価した3項目に0.125点/票を付与し、各得点表とチャートは100点満点換算している。
全体の傾向としては、8つの内の「情報発信力」の平均スコア47.3点「情報収集力」37.0点「広報組織力」31.7点と続く。スコアの低い項目は、「情報創造力」21.3点「関係構築力」22.8点「危機管理力」24.9点の項目になった。上記の結果から、情報の収集と広報体制の整備は整っており、情報の発信にも力を注いでいる傾向が見られる。しかし、点数の低い項目を見てみると、収集したデータや情報が活かしきれて無い様で、情報の創造力や危機管理力のような近年進んでいる新しい広報活動の対応に、現時点ではなかなか追いつけないようだ。
業種別では今回調査した全16種の内、1位電力、ガス、2位金融、証券、保険、3位食料品と続く。不祥事や事故などの可能性が多く、特に、生活者の厳しい視線の注がれる業種が広報活動に力を注いでいる傾向が見られた。
今回、調査対象とした上場企業には企業としての透明性の高さが要求される。情報開示や説明責任、社会との対話などの広報活動の重要さは、ブランドや株価など企業価値に良い影響が出ると考えられる。また、日本広報学会理事長からは、今回の調査結果を元に課題を把握し、広報活動の見直しに役立てて欲しいとのコメントであった。(編集担当:高井ゆう子)