「寒の戻り」相場下でも業績の上方修正を伴う増配銘柄には配当取り・値幅期待の両建て投資妙味=浅妻昭治

2014年3月24日 11:06

<マーケットセンサー>

 春一番が吹き、桜の開花情報があちこちから伝えられ、お彼岸が過ぎようとしているのに、株式市場の方は、飛んだ寒の戻りに見舞われている。連休前20日の日経平均株価は、今年2月に突っ込んだ年初来安値1万3995円直前まで大陰線を引いた。相場格言通りに「節分天井、彼岸底」を実現してくれるのか、いささか心配になる。

 この異常気象ならぬ異常株価は、先行き一体、何を懸念してのものなのか、気掛かりである。緊張状態が続くウクライナ情勢か、前倒しの利上げを示唆したイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長発言か、あと1週間後に迫った消費税増税の悪影響か、中国景気の失速懸念か、それとも週間で1兆円超と過去最高の売り越しとなった外国人投資家のリスクオフ姿勢か、3月26日に新規株式公開(IPO)されるCYBERDYNE<7779>(東マ)への乗り換えのための新興市場株の換金売り・総崩れか、3月期期末特有の期末決算対策売りか、悪材料を数え出したらキリがないからだ。

 どれ一つ取っても、判断を迷う難問ばかりで、ましてこの悪材料が複合的に連鎖すると想像すると、毎年恒例の4月からの新年度相場期待など雲散霧消してカゲもカタチもなくなる心地さえしてくる。しかしである。この「寒の戻り」相場下での逆行高する銘柄はあるものである。この逆行高銘柄の一角を占めるのが、3月期決算会社の期末の3月に入って配当異動を発表した銘柄である。システム・ロケーション<2480>(JQS)が、4期ぶりの増配を発表したことを受けて連休前の20日にストップ高し、それ以前にも、復配発表の日本出版貿易<8072>(JQS)や大幅な特別配当を発表したウェッズ<7551>(JQS)も、それぞれストップ高を演じた。

 もちろんこの3銘柄は、新興市場の小型株であり、しかもこの人気もあるいは、配当権利付き最終売買日の今週26日までの期間限定となる可能性も否定できない。しかし、3月に入って配当異動を発表した銘柄は、新興市場株にとどまらず本則銘柄にまで及んでいるのである。また、期間限定に関しても、配当異動のうち増配会社は、多くは業績の上方修正を伴い投資採算的にも低PER・PBRに放置されていることが目立っているのである。配当落ち後も、株価の再騰が期待される株価環境が整っていると評価されるのである。ということは、配当取りのインカム・ゲインとともに、値幅取りのキャピタル・ゲインも期待できる両建て投資の資格条件を具備しているということになる。

 そこで、3月に入って増配を発表した銘柄のうち、年間配当利回りが3%以上に回り、割安水準にとどまっている銘柄をスクリーニングしてみると、ほとんどが今3月期業績を上方修正し、来2015年3月期業績の続伸に弾みをつけそうな銘柄が相次ぐなどの好実態が、浮き彫りになった。浮上した銘柄は、15銘柄で、権利付き最終日の26日まできょう24日を含めてあと3日間、突っ込み買い、逆張り、順張りなどの前向き投資に再考余地があるということになる。(本紙編集長・浅妻昭治)(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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