東芝燃料電池システム、欧州家庭に参入
2014年3月19日 09:55
東芝<6502>は、欧州での家庭用燃料電池システムの普及と拡大に向けた事業への参入のため、ドイツのバクシィ・イノテック社(以下BI社)との提携を発表した。BI社は欧州の大手暖房機器メーカーBDRサーメア社(以下BDR社)のグループ関連会社であり、開発と販売の面での提携となる。
BI社は欧州における家庭用燃料電池システムのトップメーカーである。BI社とはこれまで2年間、共同でプロト機の設計や試験を行い、協業に向けての検討を進めてきた。今後もBI社と欧州地域向け製品の共同開発を続け、14年度中に市場に投入する予定である。販売面でもBI社と協力し、ドイツ国内をはじめ欧州の各国に多くの拠点を持つ親会社のBDR社の販売網を通して、今回の燃料電池システムを搭載した製品を展開する。今回の提携によって、東芝は、既に国内で実績のある排熱を利用する燃料電池「エネファーム」をベースにし、欧州向けに開発する燃料電池ユニットを提供する。BI社は貯湯や給湯、全体制御システムなど組立を含めたシステム全体を構築する共同計画になっている。
欧州では太陽光や風力などの再生可能エネルギーと並んで、家庭用燃料電池システムなどの、発電時の排熱を利用し給湯などの需要をまかなう、コジェネレーション・システムの普及拡大が期待されている。普及に向けて政府が実証事業を積極的に展開するなど、家庭用燃料電池システムとして20年には約8万台の市場規模になると見込んでいる。
東芝は、今まで蓄積してきた実用化技術をベースに「エネファーム」の高性能化、高耐久化、低コスト化に取り組み、日本国内において14年1月末時点で累計約3.5万台、ガス会社を中心に出荷してきた。
今回の欧州企業との提携で、東芝の燃料電池の技術力と製品力、BI社のシステム構築力という両社の強みを生かすことができる。CO2削減効果も高く効率の良い発電システムとして、日本国内だけでなく欧州市場でも普及拡大を目指している。(編集担当:高井ゆう子)