新興市場見通し:先行き不透明感、中小型株についても積極的な売買は手控えられる公算か

2014年3月15日 18:00


*18:00JST 新興市場見通し:先行き不透明感、中小型株についても積極的な売買は手控えられる公算か
先週(3/10-14)の新興市場は、ウクライナ情勢や中国の信用収縮懸念を受けてリスクオフムードが強まる中で、換金売り優勢の展開となった。週前半こそ、外部環境の落ち着きが支援材料となり、マザーズ市場の主力株を中心に戻りを試す動きに。ただし、週末にかけてはウクライナ情勢などを背景とした欧米株安や円高進行の流れから日経平均が大幅下落となり、新興市場の中小型株についても利益確定売りが膨らんだ。手掛かり材料も乏しく押し目買いの動きは限定的で、マザーズ市場の売買代金は1000億円の大台を再度割り込むなど、売買も低調だった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-6.2%であったのに対して、マザーズ指数は-5.9%、日経ジャスダック平均は-2.9%だった。

個別では、コロプラ<3668>やサイバーエージ<4751>、ミクシィ<2121>、クルーズ<2138>など、主力のネット関連が軟調だった。また、新型万能細胞「STAP細胞」の論文取り下げの可能性が浮上したことが嫌気され、リプロセル<4978>やタカラバイオ<4974>、セルシード<7776>など、バイオ関連も換金売り優勢に。一方、12日にマザーズ市場へ上場したエンバイオHD<6092>の初値は公開価格の約2.3倍となったほか、その後も短期資金を巻き込んで上値追いとなった。また、26日に上場を控えているサイバーダイン<7779>の人気化期待も一段と高まり、菊池製作<3444>やハーモニック<6324>など、ロボット関連への物色が継続した。

今週(3/17-20)の新興市場は、外部環境の先行き不透明感が燻る中で、上値の重い展開となりそうだ。ウクライナ情勢や中国の信用収縮懸念など、外部環境への警戒感を背景にリスクオフムードが強まっており、中小型株についても積極的な売買は手控えられる公算。円高進行などを受けて内需関連の位置付けとなるネット関連への資金流入などは期待されるものの、先週末にかけてはリスクオフムードに押され物色の動きも限定的となっていた。売買代金が減少傾向にある点などを見ても積極的な押し目買いの動きは期待しづらく、手掛かり材料が乏しい中でこう着感が強まることも想定しておきたい。なお、マザーズ指数は2月以降の下値支持線となっている800ポイント前後での攻防となりそうだ。

個別では、値動きの軽いテーマ株や好材料の出た銘柄のピンポイントでの物色が中心となりそうだ。とりわけ、サイバーダインの上場に向けてロボット関連への物色が継続しており、上値追いとなっている菊池製作やハーモニックなどへの関心が続こう。また、ネット関連やゲーム関連への物色も見込まれるが、コロプラなどは高水準の信用買い残が需給面の重しとなっており、戻り待ち売り圧力も強いか。

その他、今週は18日に日立マクセル<6810>、19日にジャパンディスプレイ<6740>がそれぞれ東証1部へ、20日にホットマン<3190>がジャスダックへ上場する。3月のIPOラッシュは堅調な初値形成が続いており、3社ともに穏便なスタートが見込まれる。ただし、ジャパンディスプレイについては、公開価格が仮条件の下限で決まったことなどから警戒感が高まるとみられ、初値の動向次第では3月後半の案件に手控えムードが波及する可能性がある点には注意したい。《FA》

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