がんのリンパ転移検査が自動で迅速に行える

2014年3月13日 08:34

 シスメックス<6869>は6日、リンパ節前処理装置「RP-10」を日本市場で発売開始したと発表した。同社が2008年に開発した独自の技術であるOSNA(One-Step Nucleic Acid Amplification:直接遺伝子増幅)法を用いた装置で、国内で初めて乳がんリンパ節転移迅速検査の自動化を実現した。

 期乳がん手術では、リンパ節中のがん転移の有無を確認する病理組織診断が術中と術後の2回にわたって行われる。そして、その検査結果に基づき切除範囲や術後治療などの診療方針が決定される。しかし、特に手術中の限られた時間での検査の実施、転移判定の困難さなどが課題となっていた。

 同社はこの課題を解決しリンパ節転移検査の標準化と迅速化を目指しOSNA法開発した。OSNA法の実用化により、検査が自動化・簡便化され、客観的な検査結果が得られるため、病理医の負担軽減と乳がん診療の標準化に繋がるとしている。

 また、スペイン病理学会(Spanish Society of Senology and Mammary Pathology)の診断ガイドラインでの推奨や、英国の国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Clinical Excellence)により推奨されるなど、海外においても高く評価されているという。国内では、日本乳癌学会が作成した乳癌診療ガイドラインにて、センチネルリンパ節の病理学的検索の代用として推奨グレードAを取得している。

 13年には大腸がん、胃がんリンパ節転移検査が保険適用されるなど、適用がん種の拡大に取り組んでおり、OSNA法についてこれまで約60件の論文で報告されている。

 OSNA法を採用しているRP-10は、処理時間が約1.5分/バッチ。従来の機械的に液体中の粒子や小滴を微細化し、非常に小さいサイズにするホモジナイザー装置を使った用手法による前処理と比較して測定時間を10%弱短縮できる。

 がんの検査は患者にとって心身ともに非常に負担の大きいものだ。それが迅速化し、効率よくできるとなればこれに越したことはない。同社はこのOSNA法を標準化するとしているが、さらなる展開に期待したい。(編集担当:慶尾六郎)

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