旧共産圏が揺るがす金融市場:中国とロシアの動向がカギに

2014年3月12日 09:40


*09:40JST 旧共産圏が揺るがす金融市場:中国とロシアの動向がカギに
最近の金融市場で投資家のリスク回避姿勢を促している要因として、ウクライナ情勢の緊迫化、中国の成長鈍化やデフォルト(債務不履行)懸念、米量的金融緩和の縮小に伴う新興国経済への打撃——などが挙げられています。

このうち、米量的緩和の縮小はよほど重大な事件が発生しない限り、粛々と進められるというのが既定路線。中国の経済成長鈍化は「持続的成長」に向けた政策の一環で、進行中の構造改革の中での“揺れ”のようなイメージです。

なお、中国内部からは成長や金融システム不安について「心配はない」とのメッセージが発せられていますが、中国国内で発生している実態を明瞭につかめる具体的な“情報が少ないこと”が投資家の警戒心を高めています。

ウクライナ問題には政治、外交、歴史、民族などが深く絡み合っており、長期化する公算が大きくなっています。ウクライナはロシアにとって欧州連合(EU)の侵略を防ぐ“緩衝地帯”で、ここを失うことに非常に大きな警戒感を抱いています。

プーチン大統領が2008年、当時のブッシュ米大統領に対し「ウクライナは国家ではない。領土の一部は東ヨーロッパにあり、大部分はわれわれ(ロシア)からの贈り物なんだ」と話したエピソード(あくまで報道ベース)は有名です。

つまり、ロシア側が主張する勢力図からみれば、ウクライナはロシアの一部が割譲されてできた国という含意がこの発言から読み取れます。ウクライナがEUに加盟すること、さらには北大西洋条約機構(NATO)に参加することはロシアにとってはEUに勢力圏を侵犯されるイメージとなり、到底受け入れられる動きではありません。

米欧諸国は最近、ウクライナ南部クリミア半島の独立の動きを警戒する言動を繰り返しています。西側とロシアが双方に強行姿勢に出れば対立の激化は避けられず、緊張が長期化すれば世界経済にも次第に悪影響が及んでくると想定できます。

現時点では米欧もロシアも譲る構えを見せておらず、投資家のリスク回避姿勢は当面続きそうです。《RS》

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