就職難の時代だからこそ、あえてこだわりたい福利厚生

2014年3月8日 22:17

 厚生労働省が2013年11月に発表した、今年の大学卒業予定者の就職状況をみると、内定率は64.3パーセントで、前年同期と比べると1.2ポイント増加している。しかしながら、推定就職希望者数は44万1,000人、そのうち今回の推定就職内定者数は28万4,000人ほどとみられており、まだまだ就職難という状況には変りがない。

 とはいえ、そんな状況下であっても、少しでも条件の良い企業に就職したいと思うのは当然だろう。では、その「良い条件」とは何だろうか。まず、給与が少しでも良いところと、そして仕事内容に対する興味ややりがいは、大きなポイントとなるだろう。でも、実際に働いてみるとこれらと同じくらい、むしろそれ以上に「福利厚生」の充実が大きな要素であることが分かる。

 日本最大級の転職・求人情報サイトを運営するエン・ジャパンが行った女性の職場環境調査で福利厚生についてのアンケートによると、次の転職先を検討する際に、福利厚生を重視したいと考える人は74パーセントとなっており、転職にあたっての福利厚生に対する関心の高さが伺える。

 そんな福利厚生の中でもとくに求められるものは、家賃補助や住宅手当、そして健康診断や人間ドック補助などが高い数値となっている。また、年代別では20代30代ではとくに、育児休暇の有無や短時間勤務制度に対する関心が高く、40代になると家族手当に対する要望が高く、子供の成長時期に合わせて福利厚生に対する関心が微妙に変化しているのも面白い。

 厚生労働省でも、行動計画を策定し、その行動計画に定めた目標を達成するなどの一定の基準を満たした企業が申請を行った場合「子育てサポート企業」として認定する制度を実施している。認定を受けた企業は子育てサポートに積極的な企業であることを対外的にアピールするため、次世代認定マーク「くるみん」を自社商品や広告などに使用することができる。

 たとえば、ソフトバンク<9984>も、出産時に男性も5日間の有給休暇がとれる「配偶者出産休暇」や、男女ともに5日間の有給が認められる「育児休業」など、父親の育児参加も促進しており、くるみんマークの認定を受けている企業だ。保険代理販売を行うフィナンシャル・エージェンシーも、子育て中の主婦を正社員と同様に雇用期限が縛られない限定正社員として年間で100人採用する新制度「ジョブクリWoman」を13年度から導入し、「子育てサポート企業」に認定され、くるみんマークを使用している。

 また、住宅メーカーの株式会社アキュラホームでは、社員の出産、育児を支援する「しあわせ一時金制度」を2008年度より実施している。1人目の出産時には30万円、2人目は50万円、3人目以降は1人につき100万円の出産祝い金を支給し、復帰後の就労時間を柔軟に対応する制度を持っており、子育てに対する手厚いサポートは社員にも好評のようだ。

 たとえ給与が高くても、福利厚生面で充実していなかったら、会社に対する不満が募る。先に紹介したエン・ジャパンのアンケートでも、現在(または直前)の会社に就職するとき、福利厚生を「かなり重視した」と答えている人はわずかに13パーセント、対して「あまり気にしなかった」「ほとんど気にしなかった」が合計で55パーセントになっている。充実した生活を送るためにも、就職や転職時には、給与ややりがいだけでなく福利厚生面の待遇もしっかりと確認しておきたい。就職難の時代だからこそ、何度も転職しないで済むよう、福利厚生にはこだわりたいものだ。(編集担当:藤原伊織)

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