ウクライナ軍事衝突の可能性極めて低い、ロシア経済の脆弱性で

2014年3月4日 09:56


*09:56JST ウクライナ軍事衝突の可能性極めて低い、ロシア経済の脆弱性で
ウクライナでの軍事的緊張の高まりは、最終的にロシアに跳ね返ってくるとの見方がある。これはロシア政府内部でも十分認識されており、経済学者でクレムリンの顧問を務めていたイゴール・ユルゲンス氏は「ロシア政府内でも紛争が経済を破滅させるとの危機感が強い」と述べている。

ロシアでは原油など資源に偏重した経済構造の改革が打ち出されている。また、透明性の向上などで投資環境を整備し、外資を惹き付ける政策も(非常にゆっくりだが)進行中だ。

ただ、ウクライナ危機はこうした努力を無駄にするほか、すでに減速している経済成長ペースをさらに鈍化させる危険性をはらむ。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、天然ガス価格の下落などで経済的余裕が乏しいロシアは事態を悪化させるつもりはないと述べ、欧米からの経済制裁が回避される可能性を指摘。

ウクライナと欧州連合(EU)はともにロシアの天然ガスに対する依存度が高く、ロシアへの制裁にはあまり踏み込めないと予測した。また、欧米とロシアが軍事衝突する可能性は極めて低く、双方のメンツが立つ外交解決が最も現実的だとも分析している。

なお、きのう3日のロシア金融市場では株式、為替、債券がトリプル安となり、ロシア中央銀行は緊急利上げを発表する事態に追い込まれた。

ただ、供給不安からこの日の原油相場は大幅高となり、ルーブル安と相まってロシアの資源輸出企業には好都合な状況も生まれている。また、ルーブル建て資産は危機前から下落基調にあり、一段の下値余地は限定的との声も。プーチン大統領はこうしたシナリオも想定していたのだろうか。《RS》

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