触感のあるタッチパネルを搭載したタブレット 富士通研究所が試作
2014年3月2日 21:11
タッチパネルに触るとツルツルした感じやザラザラした感じがある。そんなパネルを搭載したタッチパネルの登場だ。富士通<6702>と富士通研究所は、富士通研究所が新たに開発した触覚技術により、ツルツル感やザラザラ感といった触感が得られるタッチパネルを搭載したタブレットを試作したと発表した。
これまでにも、タッチパネル自体の振動や静電気の発生により凹凸感などの感触を伝える技術はあった、しかし今回、富士通研究所は、超音波振動により、タッチパネルと指との摩擦力を変化させ、触感を提示する技術を開発した。これにより、タッチパネル上で従来表現が難しかったツルツル感やザラザラ感を体感できるようになったという。
タッチパネル表面を超音波振動させることにより、パネル表面と指との間に高い圧力の空気膜を発生させ、その浮揚作用により摩擦力が低減。この現象を利用すると、タッチパネルに触れた際に従来実現が難しかったツルツル感を感じることができる。携帯端末サイズで効率よく振動させられる技術を開発し、この触感を試作機に実現することに成功した。
また、パネル上を操作する指のタッチ情報と画面の表示情報に応じて摩擦力の高低を瞬時に変化させることで、ヒトに触感の錯覚を誘発し、画面に凹凸感やザラザラ感を感じることができるようになった。この触感情報に加え、ディスプレイに表示される視覚情報とスピーカーから出力される音響情報を効果的に提示する。
今回開発した技術を、小型化して実装したタブレットを試作。富士通は試作機を、2014年2月24日から2月27日にスペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2014」(MWC)に出展。展示とデモンストレーションを行った。琴を弾いているような感触、CD表面のツルツルとした感触や実際にレコード盤を動かしてリミックスをさせているような感覚や音量など操作バーの凸感といった感触、金庫のダイヤル錠を回す感覚が実感でき、さらにロック解除を音と触感、ワニの画像を触ると触った部位にあわせた異なる触感、といった4つの視覚・聴覚・触覚をあわせた新たな感覚による、デモンストレーションを行った。
この触覚技術は、より直感的でリアルな操作性の実現により、電子カタログなどへの応用が考えられ、タブレットなどのデバイスはもちろん、様々なサービスへの適用を視野に入れた幅広い可能性を持っているという。富士通および富士通研究所では、2015年度中の製品化を目指すとしている。
インナーネット上やスマホで体感できる世界はあくまでバーチャルなものだった。しかし、今ではだんだんとリアルな世界へと近づいている。スマホを通じで握手できる日も近いかもしれない。(編集担当:慶尾六郎)