ブータン王国がEV先進国に 日産が「リーフ」を国家プロジェクトに提供
2014年3月2日 21:27
日産自動車<7201>とブータン王国が自動車のEV(電気自動車)化プロジェクトを推進する。日産は21日、国内の自動車を電気自動車化することを目指すブータン王国をサポートすることで合意したと発表した。
これは、昨年行われた同国の首都ティンプーでのツェリン トブゲイ首相と日産の社長カルロス ゴーン氏の会談を受けてのもの。この提携により、ブータン政府は、ゼロ・エミッション国家になるという目標の実現を目指す。ブータンはEVを重要な戦略として位置づけており、ティンプー市民10万人以上の交通手段をクリーンエネルギーで賄う「クリーン・エレクトリック」シティとなることを目指している。
また、同国は、水力発電により十分な量の電力を作り出しており、クリーンエネルギーは同国の主要な輸出品となっている。しかし、現在、ブータン国内の自動車の走行のためには化石燃料を輸入しなくてならない状況。このため、ブータンは、石油輸入量を大幅に減らすことに取り組んでいる。
この提携の第一段階として、日産は、政府公用車やタクシー、実証実験などに使用する車両の「日産リーフ」をブータン王国に提供することを検討する。また、ヒマラヤ山脈の麓に位置するブータン全域のインフラを整備するという政府の計画を実現するために、急速充電器の提供も検討していく。さらに、今回のパートナーシップには、技術上のさらなる協力に向けた実行可能な案件の検討も含まれているという。
トブゲイ首相は、「ブータン王国は、世界をリードするEV国家となるというビジョンを掲げ、その達成に向けて現在取り組んでいます。今回の日産とのパートナーシップを喜ばしく思っています。私たちは、国内の交通インフラの電動化に向けても進めており、日産のグローバルな経験は我々に取って、大変貴重なものとなります。」と述べている。
ブータン王国政府は、EVについては、環境税、消費税、関税を免税にすることを検討しているという。またEVの販売により、内燃機関(ICE)駆動の輸入車の各種税金に関する恩典の炭素クレジット方式の導入も検討する予定。「日産リーフ」は、14年1月には世界での販売台数が10万台を突破、史上最も販売台数の多い電気自動車となった。世界のEV市場で45%のシェアを誇る。日産は本年も、欧州および日本で小型電気商用車の「e-NV200」を発売する予定だ。(編集担当:慶尾六郎)