“任天堂はスマホゲームを出すべき“ 赤字と株安の中、外資ファンドの要求にどう応える?
2014年2月28日 12:17
香港のヘッジファンドマネジャーであるセス・フィッシャー氏は26日、任天堂の岩田聡社長に宛てた書簡で、任天堂がアップルのスマートフォンや、アンドロイド端末へのゲームソフト供給を開始するよう求めた。フィッシャー氏がCIO(最高投資責任者)を務めるオアシス・マネジメントは、任天堂の株主である。
【フィッシャー氏の主張】
テレビゲーム系ニュースサイト『ゲームスポット』によれば、フィッシャー氏は「任天堂は存在価値を維持するために、消費者の需要や行動、期待の変化に対応していく必要がある」と主張したという。「専用ハードの購入が必要というのでは、消費者向けエンターテイメント・マーケットにおける標準的な需要の原則がもはや当てはまらないことは既に明らかである」というのだ。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙(ウォール紙)も、フィッシャー氏の「任天堂は適切なゲーム開発チームのもとで、高収益のゲームを作れると思う」という言葉を紹介している。「99セント払って、もうちょっと高くジャンプするマリオが見たいじゃないか」。なおフィッシャー氏は6月にも同様の要求を行ったが、任天堂からのコメントは得られなかったという。
直近の収益報告が外れた今、フィッシャー氏のように、任天堂への投資をじっくり見直す投資家が増えているとゲームスポットは述べる。1月、任天堂は3月期の連結決算が3期連続の赤字になると発表していた。
【任天堂の方針】
フィッシャー氏の書簡について、任天堂広報担当者は、提言は個別に検討するが、結果については発表しないだろうと述べたと各メディアは伝えている。フィッシャー氏の要請に対する出方については直接言及しなかったのだ。
ウォール紙によれば、1月末、任天堂は経営方針説明会を実施したが、その際、岩田社長は「わたしたちは自社のゲームを単純にスマートデバイスに載せようとは思わない」と述べたという。「ハードとソフトを一体で開発するユニークな位置にあってこそ、任天堂の望むビジネス・スケールは維持可能である」というのだ。
ゲームスポットによれば、岩田社長は長年抱いてきた戦略を擁護し、任天堂の専用機向けのみにゲームを開発するという長期戦略の支障となるようなリスクを冒してまで、モバイル機にライセンス提供して短期的な利益を求めるつもりはないと述べたという。
その代りに任天堂は、同社キャラクターのライセンスビジネスをビデオゲーム分野以外の場で展開するためのパートナーを探すことを表明した、とブルームバーグは伝えている。