日常生活、震災前に「完全に戻った」全国54%、被災地39% 心の傷癒えず

2014年2月26日 14:01

 東日本大震災からまもなく3年。人々の意識はどのように変わってきたのか。このほどマクロミルがまとめた『震災白書2014』によると、全国と東北3県の被災地では多少の意識ギャップがあることがわかった。

 同白書では全国の20~69歳の男女約1500名にアンケートを実施。まず、日常生活はどの程度震災前の状態に戻ったと思うか尋ねたところ、全国では「完全に戻った」との回答が54%を占めたが、宮城・岩手・福島の3県では39%にとどまった。一方で「戻ったとはいえない」と回答した人はいずれも約20%を占め、地域を問わず震災の影響が残っていることが分かる。

 「日常生活で不安を感じていること」に関しては、全国、東北3県ともに「大地震・津波の再発生」が63%で最多、次いで「増税」(全国52%、東北3県61%)となった。東北3県では今も56%が「余震の発生」に対して不安を感じており、「風評被害」への不安を抱える人も44%いた。

 「被災地で不足していると思う支援行動」については、「被災地の米・野菜・酪農品・水産品の購入」(全国39%、東北3県45%)がトップ。東北3県では「被災地方面への観光や旅行」が全国に比べ8ポイント高く、43%だった。被災地住民の44%は今も風評被害への不安を抱えている。積極的に被災地の物産品を購入したり、観光地を訪れたりすることが復興の一助となるのは確かだろう。

 被災した人たちからは「津波被害があった地域の土地整理が今まさに行われており、復興に向けて動いていると感じる。だがどのように復興するのかなかなか情報が見えない(宮城県35歳男性)」といった声や、「震災を経験し、正直に死ぬのではないかと思った。今でも、震災で津波や電気やガスが止まりご飯もままならず、余震に一分たりとも神経が休まる日が無かった事を鮮明に覚えている。地獄だった。少しの地震でも過敏になり動悸がする(宮城県24歳女性)」など、数字からは伺い知ることのできない現実が浮かび上がる。物理的には復興しても、心の傷が完全に癒えるにはまだまだ時間がかかる。(編集担当:北条かや)

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