【鈴木雅光の投信Now】グロソブ純資産残高トップの座を明け渡すか

2014年2月24日 10:16

  長年にわたって、日本の投資信託の純資産残高でトップを続けてきた国際投信投資顧問の「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」に、その座を明け渡すことになりそうだ。

  通称グロソブ。海外のソブリン債、つまり国債や地方債、政府保証債といった公債を中心に投資し、毎月決算を行い、組み入れられた債券から得られる金利収入を原資にして、受益者に分配金を支払うというのが、基本的な仕組みだ。

  一時、その純資産残高は5兆7658億円にも達した。リーマンショックの直前、2008年8月8日のことだ。まさにこれがピークで、その後、同ファンドからは資金流出が生じるようになり、純資産残高は縮小の一途をたどった。ちなみに、2014年2月21日現在の純資産残高は1兆2376億円だ。

  もちろん、それでも1兆円規模の純資産残高というのは、数多くある日本の公募型投資信託の中では、トップの座にある。ただ、2位以下の猛追もあり、近々、グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)は、その座を降りることになりそうだ。国内で設定・運用されている公募型投資信託(ETFは除く)の純資産残高ランキングを見ると、2位はフィデリティ投信の「フィデリティ・USハイ・イールドファンド」の1兆1369億円、3位は新光投信の「新光US-REITオープン」の1兆1028億円が続いている。

  グロソブの場合、「それでも1兆円の純資産を維持している」とは言える。が、5兆7658億円もあった純資産残高が、6年間で約5分の1にも目減りした。これだけ激しい資金流出に見舞われたファンドを、今後10年、20年という長期保有の対象とするわけにはいかないだろう。加えて言えば、同ファンドの1万口あたり分配金は1月、35円から20円に減額されている。安定した分配金を維持するために内部留保されている「分配対象額」は、月を追うごとに目減りしている。

  今後も同ファンドを保有し続ける人は、分配対象額が底をつくと同時に、月々の分配金額にブレが生じる恐れがあることを、頭に入れておくべきだろう。。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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