Facebook、WhatsApp買収の決め手は? 海外紙が類似サービスと比較分析

2014年2月21日 21:55

 Facebookが160億ドルでWhatsAppを買収、過去最高値の取引となった。数多くの競合企業の中で勝ち残りへの一歩を踏み出すことになるのか。海外メディアは買収の意義を分析している。

【WhatsAppの特徴】

 WhatsAppは、インターネットを通じて無料でテキストメッセージや写真、動画の送信ができるサービスだ。米ニュースサイトMashableによると、電話会社のSMSを迂回することによってテキストメッセージの料金を無料にしている。競合するサービスに、現アクティブユーザーが2億7000万人の中国WeChat、近年登録アカウント数が3億を突破した日本のLINEなどがある。その中でもWhatsAppはアクティブユーザーが4億5000万人と最も人気がある。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙のDigitsによると、競合であるLINE、カカオトーク、WeChatは無料だが、メッセージ機能を基盤にゲームやその他の収入を得るサービスを合わせ持っている。一方でWhatsAppが特徴的なのは広告を載せない点と、ゲームや位置情報サービス、小売などの追加サービスを持たない点だという。収益は、登録2年目から発生する1年に1ドルの使用料のみということになる。

【WhatsApp買収の意義】

 Mashableによると、投資家との電話相談の際マーク・ザッカーバーグCEOは、WhatsAppのユーザーは10億人に向かって増え続けており、“非常に価値のある”大衆市場サービスであると述べた。今回の買収が、世界をもっとオープンに、緊密につなげていくというFacebookの目標を後押しするとコメントしたという。

 米国時間21日、ザッカーバーグ氏は「Internet.org」設立により全世界にインターネットの環境をもたらすことを目標にしていると発表した。現在インターネットに接続できない世界3分の2の人々を対象にしたプロジェクトだという。Mashableでは、対象となる地域の多くはWhatsAppの需要が高く、同企業が一夜にして戦略の要になったと指摘している。また同サイトでは、近い将来携帯電話市場が爆発的に成長するであろう地域での高い知名度と人気を得ることは、WhatsApp買収なくしては成し遂げられないことだった、と分析した。

 フォレスター・リサーチのアナリストであるチャールズ・ゴルヴィン氏がバイラルメディア「バズフィード」に語ったところによると、ブラジルやメキシコ、スペインではスマートフォンを使用する時間のうち25%をWhatsAppに費やしているという。将来的に成長する可能性のある市場が欲しいFacebookが無視することのできない数字だと指摘する。

【Facebook今後の展望】

 近年のさまざまなメッセージングアプリの人気はどれもFacebookには及ばないものの、急成長を続けている。新規競合の間で既存の大手企業はそれぞれの対策を講じてきた。一方で、新たな競合が大手企業からメッセージングの支配権を奪ったことは確かだと、バズフィードは指摘する。例えば最新のFacaebookメッセンジャーはWeChatやLINEのデザインからヒントを得ているという。主要な大手企業はWhatsAppを始めとするメッセージングアプリの新しい風潮という脅威にさらされている。

 昨年、主要なインターネット企業各社は、次世代の一大メッセージングサービスとなるために奔走した、とバズフィードは報じている。中でもFacebookは、次世代Facebookを定めて、創造または獲得することへの意欲を見せたという。法外な高値でFacebookは勝利への駒を一つ進めた、と結論付けた。

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