除草剤の有害性を発表した研究者、メーカーからさまざまな嫌がらせを受ける

2014年2月14日 06:00

eggy 曰く、 米国で最も使用されている除草剤「アトラジン」がカエルの雌雄同体化を起こすことを発表したバークレー大学のTyrone Hayes教授に対し、このアトラジンを販売するシンジェンタ社が、さまざまな手段で教授への攻撃を行っていたことが話題になっている(slashdotThe New Yorker記事)。

 Hayes教授が訴えるところによれば、カンファレンスで講演を行う際に見慣れぬ人につきまとわれたという。その人物は公演中にメモをとったりHayes教授が「まぬけ」だと思われるような質問を浴びせていたという。また、誰かに電子メールを読まれているのではないか、誰かが自分の評判を落とそうと攻撃を仕掛けているのではないかといった心配もあったそうだ。実際、Hayes教授を検索エンジンで検索すると、「Tyrone Hayesは信用できない」といった宣伝バナーが表示されていたという。

 さらに、Hayes教授の研究結果から科学的根拠を得た米中西部の23都市がシンジェンタ社に対し、「アトラジンが有害である事実を隠蔽し」飲料水を汚染したとして2012年に訴えを起こしたのだが、その後公表された文書によりシンジェンタ社が徹底的にHayes氏の名誉を傷つけるための工作を行っていたことが明らかになったという。

 2005年には、同社のコミュニケーションマネージャーであるSherry Ford氏によって、「TH(教授の頭文字)の評価を落とす手法」が長いリストにまとめられたという。そこには「彼の研究を第三者機関に再調査させる」、「専門誌に掲載を引っ込めさせる」、「彼が訴訟を起こすように罠を仕掛ける」、「資金源を調べる」、「妻を調査する」といったことが並んでいたそうだ。

 だがHayes教授もただ黙って攻撃を受けていたわけではなかったようだ。2002年より、下品な言葉を散りばめた、ギャングスタ・スタイルのラッパーの歌詞にもなりそうな「攻撃的で、プロフェッショナル性に欠き、侮辱的な」文章を、シンジェンタ社に対してメールで送りつけていたという。

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