死んだ同僚にツイッターでフォローされた!? 現代の怪談が投げかける故人のアカウント問題

2014年2月13日 15:15

 死んだはずの同僚からソーシャルメディアを通じて連絡がくる、そんな恐怖体験が現実のものとなっている。怖いのは恐怖そのものではなく、怪奇現象を日常に存在させることができるテクノロジーの能力だと、デイリー・ドット紙は論じている。

【残すか削除か。故人のアカウント処理】

 米ピュー研究所によると、2013年5月の時点でネットを使う大人の72%がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使用しているという。一方で、家族や友人を亡くしたときのソーシャルメディアアカウント処理方法が問われている。故人の記憶として残すのか、削除するのか。UPSTARTビジネスジャーナルでは、ほとんどのソーシャルメディアサイトが頻繁に個人情報の規則を変更するため、アカウントを残す場合故人のデジタルIDを危険にさらす可能性があると指摘している。

 消去するのであればそれぞれのソーシャルメディアに連絡を取り、死亡証明や自分と故人との関係を証明する手続きをとる。生きているうちに自分のソーシャルメディアのアカウントID、パスワードを書き留めて、どこか安全な場所に置いておくのが一番だという。アカウント情報は簡単には取得できないようになっているため、故人が残したメモがあれば遺族は簡単にアカウントを削除したり、使えないようにしたりすることができる。

【ソーシャルメディアが投影するものとは】

 現在10億人の記憶を抱え、全世代の歴史の記録を保存しているフェイスブックから、我々は過去と未来の自分を想像することができると、デイリー・ドット紙は指摘した。一方で、40年後新しいソーシャルメディアにとって代わられたとき、フェイスブックに保存されてきた個人の“歴史”はどうなるのか、という疑問を提起している。

 また、ソーシャルメディアが個人の人生を投影しているものであるならば、過去の投稿から個人の人生をあぶり出すことはできるか、と論じた。故同僚の過去のツイッター投稿からは、世界をより良い場所にする力になりたいという夢に向かってネット上で活動していた姿が見えてきた。投稿は過去6カ月間の断片的なものに過ぎなかったが、個人の人生の一部分を垣間見ることができたという。

【現代の怪談とその日常性】

 デイリー・ドット紙は、存在が永遠であろうがなかろうが、存在しているということだけで充分意義があるとした。人生のすべてをデジタルに書き写すことは到底できないが、そこに反映されている人生の瞬間が最も大切だという。例えば知らない人がどんな人間になりたいのか話してくれた瞬間、そこから我々は相手の人生を推し量ることができる。

 一方で、現代ではマルウェアに感染したインターネット上のゾンビや、スパムボットが“知らない人”になり代わり、死から蘇って手の届くところにいる全ての人について回っている、と結論した。現代の怪談は巧みに我々の日常に入り込み、恐怖の感覚を奪ってしまっているようだ。

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