【アナリスト水田雅展の株式・為替相場展望】リスクオフムードが和らぎ、米1月雇用統計を好感した流れでリバウンド局面

2014年2月9日 13:46

  来週(2月10日~14日)の株式・為替相場は、新興国通貨不安に端を発したリスクオフムードが和らぎ、注目された前週末7日の米1月雇用統計を好感して米国株高、ドル高・円安となった流れで安心感が広がり、リバウンド局面となりそうだ。

  前週の前半は、新興国通貨不安に端を発したリスクオフムードの流れで不安定な展開となった。米国株式市場でダウ工業株30種平均株価が1月31日に前日比149ドル76セント安、2月3日に前日比326ドル05セント安と大幅下落したことを受けて、ドル・円相場は1ドル=100円台、ユーロ・円相場は1ユーロ=136円台まで円が買われる場面があり、日経平均株価は2月3日に前日比295円40銭安、2月4日に前日比610円66銭安と大幅下落した。ただし週後半には、新興国通貨売りが一巡して世界の金融市場がやや落ち着く形となった。

  そして注目された2月7日発表の米1月雇用統計では、失業率が6.6%となり12月6.7%から0.1ポイント改善した。08年10月以来の低水準だった。非農業部門雇用者増加数は前月比11.3万人増加にとどまり、市場予想の同18万人~18.5万人増加を下回った。12月改定値は同7.5万人増加で速報値の同7.4万人から0.1万人の上方修正にとどまった。

  この発表直後には、ドル・円相場が1ドル=101円40銭近辺までドル売り・円買いの動きとなり、日経225先物も急落した。しかし米株価指数先物が前日比プラス圏に転じたことを受けて切り返しの動きとなり、ドル・円相場は1ドル=120円30銭台、ダウ工業株30種平均株価は前日比165ドル55セント高、シカゴ日経225先物(円建て)は1万4670円で取引を終了した。1月の非農業部門雇用者増加数は市場予想を下回ったが12月の増加数を上回ったこと、予想外に失業率が改善したこと、労働参加率が上昇したことを好感したようだ。結果的に米1月雇用統計を大きな波乱なく通過したことになり、来週はリスクオフムードが和らぎ、リバウンドの動きを強めて円安・株高の流れとなりそうだ。

  海外要因で注目されるのは、米FRB(連邦準備制度理事会)のテーパリング(量的緩和の規模縮小)ペースに対する思惑と、新興国からの資金流出に対する警戒感の落ち着き度合いだ。米イエレンFRB議長は11日に下院金融委員会、13日に上院銀行委員会で証言する。米12月および1月雇用統計が市場予想を下回ったことで、テーパリング一時中断との見方も浮上しているだけに、証言内容が来週の最大の焦点となりそうだ。また米連邦債務上限引き上げ暫定措置期限切れに関しては、議会の協議に目立った進展が見られないため引き続き波乱要因として注意が必要になる。

  国内要因としては、3月期決算の主力銘柄の13年4~12月期業績発表がほぼピークを越えた。発表直後に乱高下した銘柄も少なくないが、来週には決算内容を精査したアナリストレポートも出始めるため、好業績銘柄をあらためて評価する動きが強まるだろう。高水準の信用買い残高がやや懸念材料だが、過剰反応の売りや追い証絡みの売りで急落した銘柄を中心にリバウンドの動きが強まるだろう。翌週17日~18日の日銀金融政策決定会合に対する期待感が高まる可能性もありそうだ。

  その他の注目スケジュールとしては10日の日本12月経常収支、日本1月消費動向調査、日本1月景気ウォッチャー調査、12日の日本12月機械受注、日本1月マネーストック、中国1月貿易統計、ユーロ圏12月鉱工業生産、米1月財政収支、13日の日本1月企業物価、インドネシア中銀金融政策決定会合、韓国中銀金融政策決定会合、米1月小売売上高、14日の中国1月PPI・CPI、ユーロ圏12月貿易収支、ユーロ圏10~12月期GDP速報値、米1月輸出入物価、米1月鉱工業生産・設備稼働率、米2月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値などがあるだろう。

  その後は17日の日本10~12月期GDP1次速報値、17日~18日の日銀金融政策決定会合、19日の米FOMC議事要旨(1月28日~29日開催分)公表、22日~23日のG20財務相・中央銀行総裁会議などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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