トヨタ、“ありえない”レベルの復活に海外も注目 しかし円安頼みとの不安も?
2014年2月5日 21:50
トヨタ自動車は4日、10~12月期の純利益が5254億円で、前年同期の999億円から5倍以上になったと報告した。売上高は6.59兆円で24%増。2013年の新車販売数は998万台で、今年は史上初の1000万台メーカーと期待されている。
3月まで通期の連結純利益見込みは1.9兆円で、これまでの最高であった2008年3月期の1.7兆円を超えることになる。ニューヨーク・タイムズ紙は、ゼネラルモーターズ、フォード、フィアットクライスラー(クライスラー部門)の合計を優に上回ると表現している。
【災難続きの数年間から脱出】
専門家は「ほとんど非現実的」なレベルの復活だと評している。トヨタはその2008年3月期以降、世界金融危機、異常加速による1000万台の大規模リコール、東日本大震災と、災難続きであった。同紙は「(生産の海外移転を含め)コスト削減を急ぎ、グローバル組織図を合理化し、新モデル・派手なデザイン・燃費の重視を強めてきた」と説明した。
とはいえ特に大きかったのは、前年度は1ドル平均81円であったものが今年度99円にまで達している、円安の恩恵であるという。フィナンシャル・タイムズ紙は、これにより、トヨタの米国での販売台数は5%増えたに過ぎない一方、1台あたり営業利益は11000円の損失から63000円の利益へと大化けしたと指摘する。ウォール・ストリート・ジャーナル紙も、今年度3四半期の営業利益増の80%は円安によるものだと報じている。
【それでも保守志向のトヨタと新たな災難】
しかし今年1月、米国では大寒波という伏兵が売り上げを激減させた。日本では販売が激増しているが、これは4月の消費税増税に先駆けた駆け込み需要だと同紙は指摘する。また、「米国と中国のデータは世界的な景気回復に疑問を投げさせ、下落する債権利回りはドルを傷つけ円を強める」とも懸念されている。同日の日経平均は4.2%下落、トヨタも発表直前までは4.9%下落していた。
だが同紙は、業績の割に安い株だとして、トヨタ買いを推してもいる。同紙によれば、投資家らはトヨタの恒常的なコスト削減能力や日銀の追加緩和に期待して、市場環境が悪化してもトヨタは何とかなるだろう、と楽観的なようだ。トヨタのほうも、ニューヨーク・タイムズ紙によると、体質脆弱化につながった金融危機前の過剰な拡張策を反省して、生産が追い付かなくなるまでは利益を設備投資や株主配当に回さず、様子見に徹する姿勢を表明している。