キヤノン決算下方へ 原因はミラーレス機? あるいはプロカメラマンの不況か?
2014年2月2日 17:39
キヤノンが1月29日に2013年12月期の本決算を発表した。売上高は3兆7313億円で前期比107.2%の伸び。営業利益は3372億円(同104.1%)だった。結果として株主に対して増収増益を報告できた。が、決して満足できる水準ではないと思える。
昨年10月24日の中間決算発表時点で、同社は第3四半期(2013年1~9月期)の売上高を3兆7500億円(同107.8%増)、営業利益を3600億円(同111.2%)という通期予測を公表していた。その数字に比較すると売上で187億円のマイナス、営業利益に至っては228億円減である。
2013年12月期の計画未達の最大の要因は、「一眼レフを中心とするレンズ交換式デジカメ(ミラーレス機)の減速だ」と同社。「キヤノンには世界のプロ写真家が使うEOSがあり、実績を残すので安泰」とした記事を記した記憶があるが、この内容が否定された恰好だ。今期、全世界で920万台の販売を見込んでいたレンズ交換式カメラの販売を四半期ごとに販売計画を下方修正。最終的には前年割れとなる765万台(前期比7%減)という結果になった。
キヤノン・田中稔三副社長によると、「景気低迷期でも力強い成長を続けてきたレンズ交換式の販売台数が、2013年から減っている。市場環境は180度変わった」という。同社はこれまで、レンズ交換式カメラ販売の減速を「欧州、中国の景気減速による一時的なもの」としてきた。しかし、今回は「消費者の購買行動が変わってしまった。原因について解明している」と、見解を修正することになった。
一方で、レンズ交換式カメラのグローバル市場の低迷とは対照的に、日本での同カテゴリーの出荷台数は2013年12月期で前年比143%と好調だ。これも「消費増税を見越した先行仕入れで、2013年12月期は実需以上に実績が伸びた」(キヤノンの説明)結果だという。そのため2014年12月期には、日本市場向けのレンズ交換式の出荷台数も減少に転じる見込みだという。
ただし、キヤノンの本格一眼レフ以外の“レンズ交換式カメラ”は「EOS M」だけ。編集者やライターでも写真撮影が必須の今、あのミラーレス一眼では「帯に短かし、襷に長し」であることは明白。多くの交換レンズを持ったEOS使用プロカメラマンの“メモ用サブ機”以上にはならない。富士フイルムやニコン、オリンパスなどのミラーレス機の高性能化を「EOS Mだけで対応」したことの弱点が表面化したか?
これまで2ケタ成長を続け、交換レンズを含めて非常に高い利益率で “ドル箱”だったキヤノンのデジカメ事業。その減速が同社の業績を直撃した。遅れをとった本格的ミラーレス一眼機の立て直し、および開発は、会社全体を成長軌道に戻すためにも急務なのかも知れない。それとも、本格一眼レフ「EOS」を含めたデジタルカメラそのもののニーズに変化があるのか? もしかして、「プロカメラマンの仕事場が減少しているのかな?」 CANON EOSの販売台数が減少するということは、そういうコトだと思える。(編集担当:吉田恒)